真実の礎 SEASON2 Change The Destiny 2話 御坊家の野望(小野哲・N)  福岡を一望できる豪邸にその男はいた。  その男のテーブルには新聞がある。ニューズオブザキューシューという日刊紙で、一面にエズフィト侵攻を伝える記事が載っている。この頭に一本角を生やしたような髪型をしている男こそ九州に拠点を置く御坊財閥の当主、御坊茶魔である。 「茶魔様、リブゲートの江本光子様と三洋銀行の石原啓太郎副頭取が来られております」 「よかよか、二人とも入れるとか」  博多弁がすっと飛んでくる。そして二人の人物が入ってくる。女性はなぜか太い眉毛を生やしており、もう一人の男は白髪そのものである。 「御坊社長、資金面でのバックアップは完成しました。あのサラマンダーエンタープライズ買収で、沖縄信託銀行買収の足がかりができました」 「よかよか、僕の狙いはエズフィトにも我が御坊企業帝国を立ち上げるだけとか」 「それと、わかば信用金庫の取り込みも終わりました。それを使って沖縄信託銀行に吸収合併させれば茶魔様の狙い通り、沖縄信託銀行は茶魔様のものになります。後はユニバーサル銀行を乗っ取りましょう」 「困ったときには金で解決すればよか」  この茶魔、先代当主の亀光から相当甘やかされて育った上に金の力で相手をねじ伏せてきた。確かに一部の友人で金に振り回されない人はいる。だが、茶魔の信念はなしに等しかった。石原がごまをすり始める。 「ところで、最近ウザいFC福岡には参りますな」 「あいつらは僕のチームをめちゃくちゃにしたとか。絶対つぶしてやりとかね」  そう、茶魔はJ2のSC福岡ブルーホーネッツというチームをライバルである袋小路財閥以外の株主を取り込んで買収し、袋小路家を追い出したのだ。しかも袋小路家が経営している九州電鉄にもネガティブキャンペーンを自身の傘下メディアであるニュースオブザキューシューを通じて行った為、デジタルキャピタルを率いる中込威が先頭に立って戦っていた。  袋小路家を支持していたブルーホーネッツ穏健派はデジタルキャピタル、前オーナーの袋小路家などと合弁でサッカーチームを創設し、地元の実業団チーム「博多スポルティボ」とアマチュアの日本サッカーリーグ1部・横田運輸福岡サッカー部を受け皿にしてFC福岡を立ち上げた。中込はイタリアのデジタルキャピタル子会社が持つ大手ソフトハウスを通じてミラノ市にあるACミランと提携させるなどしていたため、茶魔は中込を嫌っていた。しかも中込は中国からの亡命者と韓国系日本人のハーフだった為、フェアな男だった。茶魔にとっては歴史観すらも気にくわない。 「赤星獲得の話のデマは流したのに、逆に結束を強めてしまったのは酷い相手ですね」 「江本、今度涼宮関東連合議会議員と面会するとか。その調整たのんでよか?」 「任せてください、茶魔様」 「へっけっけっけ、準備は万全を期しとかんといかんばい。へっけっけっけ」  江本と石原が帰った後、茶魔は自作の歌を一人口ずさむ。 「♪か〜ねもち、か〜めもち、い〜たらきもち、ぽっくんは歩く身〜の代金、へっけっけっけ…」  一方、福岡県大川市…。  ベットタウンの一角にある一軒家と畑…。車に乗り込む男がいた。 「行ってくる。鷹君が来たらしっかり頼むぞ」 「ええ、昔から彼はやんちゃだったみたいね」  彼の名前は袋小路金光。あの九州電鉄を傘下にしている九州ルネサンスホールディングスの社長であり、かつて九州屈指の実業家だった袋小路一族の末裔である。  金光の性格は昔から贅沢を好まない。父親の義昭の持っていた一軒家と荒れ果てていた畑を新婚の住居に選ぶなど実務派として知られているほか、九州電鉄の経営再建前には高校生時代から続けていた特殊清掃のアルバイトの経験から買収したマンション販売会社と建設会社を合併させて九州住宅産業として放火被害を受けた人達の住居の再建などを引き受けていた。  しかも彼自身、イエスマンをそろえない厳しさもある。国立九州大学を卒業した事もあり、優れたエリートなのだがそれすらも顔を出さない。経営再建後に車両メーカーから新車両の購入の話を持ちかけられても金光は断っており、関東の地下鉄や私鉄で走っていたアルミ製の車両から車体を買い取って内装や制御装置、台車を改造して使うなどしてコスト削減をやっている。だから内部留保もたまっている。それ故に金光は強引なリストラを一回もしなかった。故に九州ルネサンスホールディングスグループの収益はどんどん向上している。  そういう態度にしたのは小学生の頃からいがみあっていた茶魔を反面教師にしていたからだった。進学する度に風の噂で聞いた茶魔の行動や態度に呆れ果て、いがみ合う気も今ではすっかり失せた。 「茶魔の奴、金の力でねじ伏せようとしているな。だが、金の力では反感を買うだけだ。もっとも俺は始末に負えないハイエナなんだがな」 「クスッ、そのハイエナが多くの人達を助けているじゃない」 「そうそう、帰り野田家に立ち寄る。海苔を買ってくるか」 「あら、昨日御用聞きで来たわよ。で今日海苔が来るわよ」 「ったく、暁美は手際がいい」  金光はニヤリと笑う。この性格はあの海原雄山でも評価しており、認められている為厳しい言葉をよく投げかけられる。金光はその言葉に励まされながら九州電鉄の経営再建を見事にこなした。その過程は週刊北斗で取り上げられたほか、パット記者に引き継がれた『人物発見伝』の第一弾に取り上げられた。また福岡市で行われる地域の祭りで相撲大会によく出ており、そこでよく当たる相手達とも仲がいい。うちその一人がある会社の副社長を務めている。民事再生法や会社更生法を申請した会社のスポンサーになるのも、そうした人脈があってこそだ。 「彼、一体エズフィト騒動でそう動くのかしら…」 「嫌な話がたくさんある。俺の父は彼のデマに巻き込まれてハイエナファンドのステンレス・コンビネーションズに酷い目にあった。しかも彼が『白馬の騎士』をつとめようとしたのだから腹立たしい」  金光の言うステンレス・コンビネーションズとはアメリカ大手の投機ファンドである。彼らのリーダーであるアントニオ・ベイカーが4年前に九州電鉄の発行株式の10%を買い取り、株主配当を高めるよう要求してきたのだ。だが義昭は「大切なのは雇用だ、雇用や地域に貢献する事に共感できない株主は出て行ってくれ」と断った為ベイカーはワトソン・セメッカ、アンディ・松尾と協力してTOBをかけてきたのだった。  そこで金光が父の危機を救うべく自らの人脈を活用し、デジタルキャピタル、オラシオン証券、東西銀行、韓国新興財閥のリジェン、アプリコットコンピュータが30%の株式を保有する筆頭株主である袋小路家の資産管理会社・袋小路産業を買収、その上に市場で時間外取引を行って50%の株式を確保して九州電鉄と九州住宅産業の経営統合を実現させて持ち株会社にし、九州ルネサンスホールディングスが誕生したのだった。茶魔は九州電鉄の子会社であるパンアジア航空をほしがっていたが、義昭はもちろん金光も毅然として断った。その後ステンレス・コンビネーションズは大きな損失を抱えて日本から撤退を余儀なくされた。 「福田さんに立ち寄るつもり?」 「ああ、俺が彼に大きな迷惑をかけてしまったんだ。わびてもわびきれない」  金光が言う大きな迷惑とは九州電鉄のメインバンクの一つだった福岡信用金庫がステンレス・コンビネーションズの乗っ取りの際に御坊家から不良債権を押しつけられたことである。そのため経営危機に陥ったのだがデジタルキャピタルの中込が奔走して九州共同銀行を設立して受け皿にして福岡信用金庫は清算させた。福田満寿夫はその九州共同銀行の初代社長だったのである。  金光が出勤した後、暁美は食事を作り始めた。この近くにFC福岡の練習場があり、昼間の食事を暁美達がボランティアで作っているのだ。ちなみに日韓豪で形成されるプロリーグ・パンパシフィックリーグ1部の鳥栖フリューゲルスとは選手の共同育成や共同保有で関係がある。鳥栖とFC福岡、長崎ビクトリーズ、FC沖縄、FC浜松、横浜マリナーズは姉妹チーム関係にあり、彼らのフレンドリーマッチは盛り上がるほどだ。 「あら、暁美さん」 「泰子さん、野菜の差し入れ?」 「そうね。それとトマトスープができたわよ」  波野泰子はにこりとした、彼女はFC福岡でボランティアの通訳をしており、イタリア人選手が多いのは彼女の存在が大きい。ちなみに夫の法介は週刊北斗の発行元の福岡支社の責任者を務めている。アレッサンドロ・ロッシ、サルバトーレ・ビアンキというイタリアでアマチュアの選手を発掘した中込がFC福岡に誘った際、通訳として参加した事がきっかけで彼らは日本に来てそのまま国籍を取った。  ちなみに二人が日本に行く決心を決めたのはアレッサンドロの従姉妹であるアンジェリーナが日本代表の赤星鷹の妻だからだ。このようにイタリア人選手が多いほか、SC福岡ブルーホーネッツのユースチームからFC福岡に移籍した選手も多い。崔潤和(チェ・ユンファ/韓国代表FW)とビアンキの2トップ、パッサー(攻撃的MF)・シャドーストライカーの赤星、右サイドのロッシとFC福岡はオフェンスにべらぼうに強い。そのため、日本サッカーリーグで来期からJリーグ3部ウェストへの加入が内定していた。  崔は元々、福岡ブルーホーネッツに1年在籍していた。だがブルーホーネッツの青シャツ隊に母国韓国の国旗を引き裂かれた事がきっかけでFC福岡へ移籍したのだった。鷹はサポーターからチームの代表として9番を背負うよう頼まれていたが「0番がなじんでいる」として移籍してきた崔に譲った。そこからも鷹とは親友であり、彼のコーディネートを引き受けていた。その後はビアンキとたぐいまれなる俊足と抜群の決定力を生かす強力なオフェンスを見せていた。もちろん、チームの守備力もリーグ屈指である。  鷹は5年前、イタリア1部のサンプドリアにレンタル移籍で所属しており、そこからもイタリアのアマチュアチームとの人脈を作っていた。父親がとび職だった事もあり、バランス感覚に強かったほかボールテクニックにも強かった。そこから繰り出されるシビアなまでの攻撃力は彼の生き様そのものを物語っていた。だが父親が体をこわしてしまい、それでさいたま市に定住する事になり中学生から10年間埼玉レッドウィングスに在籍しながら高校を卒業した努力人でもあった。それでいて対戦相手や対戦サポーターを小馬鹿にしない厳しさもある。 「よっしゃぁ、できましたか?」 「相変わらずはしゃぎすぎね、鷹君」  呆れる泰子。練習の合間を見て昼食を持っていくのは彼だ。渋い顔の大男。彼は北村大地といい、左サイドMFの選手で元々は頑強なFWだった為、得点感覚に強い。 「鷹、少し落ち着け。そこまではしゃいでは困る」 「練習生が来ているみたいだけど、どう?」 「ボランチの補強につながるか微妙って所か…。まあ、仕方がないですね」  FC福岡の堅守を支えるのはユニバーシアード日本代表の吉川望、現役大学生の緒方哲だった。ちなみに緒方はあのSC福岡ブルーホーネッツのユースチーム出身だったがあまりにも酷すぎる茶魔の現場介入に閉口してFC福岡に移籍したのだった。吉川について言えば、Jリーグのどのチームからも誘われなかった時に中込の目にとまった事からFC福岡に加入できたのだった。  ちなみに監督はオランダ人のヨハン・ファン・ハーレンといい、論理的な選手の育成を得意としている。これは中込のデジタルキャピタル子会社でイタリア大手のオフィスソフトメーカーがACミランのスポンサーであることからだ。ACミランにとってもアマチュア選手の受け皿になるというメリットもあり、前監督のファン・ハーレンの移籍を容認した。もちろん、将来の指導者の育成も兼ねてSC福岡ブルーホーネッツでユース部門の強化を訴えてユースチームコーチとして飼い殺されていた木戸 政孝を引き抜いてヘッドコーチに就任させていた。  ちなみにFC鳥栖フリューゲルスとSC福岡ブルーホーネッツは仲が悪かった、というのは最初に静岡県浜松市から日本サッカーリーグ1部のガリバースポーツ浜松を誘致した九州財界から福岡財界が栃木県にあったワールドスポーツクラブを引き抜いた上、資金難に苦しんでいた鳥栖ガリバーから選手と指導者を引き抜いた上、サポーターの目の前で鳥栖ガリバーのフラッグを焼き捨てる暴挙までしでかしたフーリガンへの処分がなかったのだ。  だが、鳥栖ガリバーにとって運が良かったのは久留米市にあった九州実業団のパンアジア航空フリューゲルス、Jリーグ2部で経営危機に陥っていたFC横浜との経営統合と、四カ所ホームタウンが認められたことだった。そこからガリバースポーツのジュニアユースチームが残って地元実業団のチームと統合したFC浜松、FC横浜のライバルチームだった横浜マリナーズとも交流が生まれたのだった。  焦っていた茶魔はFC鳥栖フリューゲルスの誹謗中傷記事を垂れ流していたがブルーホーネッツへの入団の話があっても新人選手は二つ返事で断り、他のチームで戦力外通告を受けた選手しか補強できない始末だ。しかもスポンサーは鳥栖へどんどん流れるほか、最近では熊本、宮崎、鹿児島でプロチームができた為、経営が成り立たないのだ。  その一週間後…。 「そう、高校時代一年間交換留学で知り合ったあんたがよくこんな話を持ってきたわね」 「僕はパンアジア航空が欲しかったがダメになってしまった、そこでエズフィトの企業を乗っ取ってエズフィトに御坊企業帝国を築き上げるとか。これぞエズフィト発展になるとか」 「そうね…。あんたの歴史観と私の歴史観は一致しているから楽々受け入れられるわよ」  ここはホテルグランドヒルズ福岡、御坊家の不動産会社御坊不動産が経営しているのだ。茶魔は御坊不動産を拡大する為に九州電鉄を買収したがっていたのだった。ここにいたのはあの涼宮ハルヒである。 「あんたの夢を実現するにはちょうど最高のパートナーがいるわ。喪黒福造よ」 「ああ…、あの新興企業の創業者とか…」  茶魔は手元にあった封筒を取り出す。 「これは個人的に政治資金とか。紹介してくれた事へのお礼とか」 「しっかり公表するんでしょうね。そうじゃないとしっぽつかまれちゃうわよ」  そういうとハルヒは封筒を受け取る。この瞬間、御坊企業帝国という野望が動き出したのだった。 「その夢の第一弾は沖縄信託銀行とスカイイーグル航空買収でしょ」 「僕はその先をみているとか。スカイイーグルはその後アメリカのパンユナイテッド航空と提携させて日本に格安航空会社を立ち上げる計画とか」 「思い切った計画ね…。あんたはアメリカをしっかり使うなんて…」  だが、近くにいた秘書がこの話を盗撮していたとは思わなかった…。その秘書こそ、あの刹那・F・セイエイであるということ、そして彼の所属しているソレスタルビーイングがGINと接触している事も茶魔やハルヒは想像だにしなかった。 「ロン社長、御坊家と接触されたようですがなぜ…」  リブゲート東京本社で根岸忠専務はマードックのマーク・ロン社長と話していた。 「九州電鉄が我々との提携を打ち切ってしまいましてね、そこで九州屈指の財閥である御坊カンパニーホールディングスと合弁でマードック九州を立ち上げることで合意したのです」 「酷い奴ですな、袋小路金光は」 「まあ、ニュースオブキューシューから私は壬生タイムズへ記事の配信で提携を受けています。その関係もあります」  ロンは壬生国の選挙を優位にするため、壬生メディアグループなる報道機関の持ち株会社を買収していた。表面上はインターネット放送での協力を理由にしていたが、喪黒への協力を行うことがその真意だったことは言うまでもない。その上にインターネットポータルでリブゲートと提携した。 「ところで、あなたに壬生国の金融部門を引き受けてもらう計画ですが、どうでしょうか」 「生命保険と証券部門なら大いに結構、しかし銀行は難しいでしょう」 「そこを何とかお願いしたいんですよ」 根岸に喪黒が振り分けたのは壬生国の金融部門を引き受けさせることだった。確かに証券や生命保険部門では優れているのだが、二つの金融機関、うち防衛信用組合は日本中に拠点を持っているが経営不振が続いていた。そこを引き受けるよう頼まれていたのだった。スキームも新たに密かに買収した先物取引会社あおい貿易を改組した「あおい銀行」なる銀行を立ち上げて経営権を引き受けることで動いていた。後は本人の承諾のみだ。すでに根岸名義で東和不動産という経営不振の不動産業を買収していたのだ。  しかも防衛信用組合は不良債権が深刻だった。顧客も暴力団が絡んでいるものが多く、やりにくいものばかりだった。そこで根岸は渋っていたのだ。 「金による支援はいくらでもします。お願いしますよ」 「ちょっと、困りますよ…」  その光景を無言で見ていたのは長谷川理央だ。彼の脳裏に仲間達の声が響く…。彼はかつて証券会社にいたが二ヶ月もしないうちに所属していた山口証券が経営破綻し、理央は失業に追い込まれて困っていたところを漢堂ジャンに誘われてスクラッチエージェンシーに加入していた。 「理央さん、どうかしたんですか」 「いや、何でもない」  ロンはちなみに小さな証券会社を株式上場の際に協力を得た山口証券から買い取ってネット証券にする一方、インターネットプロバイダーのマードックを買収した。元々彼は携帯電話の販売会社を父親の知り合いから買い取ってそこから拡大をしていたのだった。 (…あいつにこの事を伝えておけばこっちの都合のいい展開になるかもしれんな…)  理央の頭はシロッコ陣営を躍進させる手立てを模索していた。  その日の夕方…。 「お帰りなさいませ」  東京でルクレッツィア・ノイン、マリーメイア・クシュリナーダと共に関東連合の情勢を調査していたリリーナ・ピースクラフトは滞在しているホテルリッツに戻ってきた。 「あ、リリーナ様、貴方様宛てにメッセージが届いておりますが」  フロントで彼女は部屋の鍵を受け取る際に受付から一通の封筒を手渡された。 「これは?」 「はい、午後1時近くだったでしょうか、男性が一人こちらに尋ねていらっしゃいましてこの封筒を貴方様にお渡しして欲しいと仰ってそのまま去られました」 「…分かりました、どうもありがとうございます」  彼女はそれ以上詳しいことは訊かず、封筒を受け取ると泊まっている部屋に向かう。 「リリーナ様、これは?」 「恐らく、ヒイロか刹那からだわ。何かを掴んだのかもしれない」 「『死神』のことでしょうか?」 「かもしれないわね」  エレベーター内でノインと話しながら部屋のある階につくと彼女達は部屋に入って椅子に座り、封筒を開けた。その中には一枚の鳥の羽が入っていた。 「ヒイロからだわ。やはり、何かを掴んだのよ」  何故、鳥の羽で差出人がヒイロだと分かったのか、それは彼のコードネームが『ウイングゼロ』だからだ。更に彼女は封筒に一枚の折り畳まれた紙があることに気づく。それを開いてみると数字の羅列が書いてあった。無論、暗号文である。 「…なるほど、分かったわ。ノイン、マリーメイア、今夜8時に近くのカフェでヒイロに会うことになるから覚えておいてね」  その約束の午後8時…  三人はヒイロに指定されたカフェで彼を待つ。彼女達は店の奥にある席にいた。 「…それにしても壬生国は喪黒の思いのままですね。軍隊を一旦解散し、組織しなおしてますし」 「ええ、トップがアルベド・ビアソラというかなり問題のある人物よ。元はアメリカ軍人で十年前の戦争でかなり非人道的な行為をした為に追い出されたと聞いているわ。そんな人物を呼び寄せるなんて恐怖政治を行うようなものよ」 「それだけじゃないよ、税金も値上げしているしアメリカとの友好条約もアメリカ寄りだっていうじゃない」 「そうね、壬生国潜入班からの情報は深刻なものよ」 「それで…トレーズ様もこちらへ…」 「ええ、その通りよ」 と三人が小声で話している席の裏側の席に一人の男が座る。そう、このカフェを待ち合わせ場所に指定したヒイロ・ユイだ。彼はすぐ後ろの席に座っていたリリーナの頭を軽く突付く。 「振り返るな、そのままで話を聞け」 と彼は小声で言い、リリーナは無言で頷く。その後、彼は近づいてきたウエイトレスにコーヒーを注文し、ウエイトレスが去った後に話し始めた。 「エクシアからの報告だ。涼宮ハルヒを知っているだろう、彼女の元に九州の財閥、御坊茶魔が近づいた。目的は今アメリカが占領しているエズフィトで勢力を伸ばしたいらしい」 「そう、それも喪黒の資金源に?」 「可能性は大だ。それと『死神』の一人がこの関東連合にいる。ダニー・エルフマンだ」 「ついに来たわね、やはり喪黒だけでなく…ギレン・ザビも?」 「まだ調査中だ。だが奴等は喪黒一族に関わる者達を暗殺するだろう」 「そう…彼等が任務外の暗殺をしないで欲しいけど…そこは私達で止めるしかないわね」 「ああ…、ところで俺は今『ツェルベルスガード』という警備会社にいる。かなり裏に食い込んでいるらしい」 「どういう事ですの?」 「あの会社は表向きで実態はロシアンマフィアだという情報がある。奴等は薬物を売りさばいて作った金を関東連合の政治家数名に渡している。その中に喪黒系列の会社もある」 「リブゲートですわね」 「ああ、その資金ルートをGINや警察が追っているがルートは相当広がっているな」 「『死神』もその事を?」 「そこは奴等に聞かんと分からんな。答えはしないが」 「そうね、その警備会社も引き続き調査をお願いするわ。刹那にも引き続きハルヒ近辺の調査を続けるよう伝えて」 「…了解」  やがて彼の席にコーヒーが運ばれ、飲み終わると立ち去ろうとした時、 「そういえば一つ言い忘れていたことがあった。俺はGINに勤務している野上良太郎との接触に成功した。野上はあの高野広志の秘書官を務めている。そこで俺を通じて情報の交換を行うことにした」 と言った。 「本当なの?私には信じられませんわね」  マリーメイアは疑いの眼差しである。あのスコットランド王朝のクリスティーナ二世が支援し、財前丈太郎とともに伯爵になっている高野広志との接触は難しいということを知っていたためだ。 「これが証拠だ」  そう言うとヒイロは三人が座っている席に近づき手紙を取り出す。そこにはGINの紋章の透かし模様があるほか、広志のスコットランド王朝から使用を唯一認められている紋章『覇者の翼』(錨とオリーブを加えた鳩をあしらった盾に剣とペンをあしらったもの。のちに大統領になった後そこに冠があしらわれる)があったためだ。 「ごめんなさい、私疑ってました」 「気にしてはいない。戸惑っただろう」 「この手紙はまだ封を開けていないのか」 「ああ、リリーナに封を開けてもらうほうがいいと野上は話していたからだ」 「分かったわ、これは後で読ませてもらうから」 「そうしてくれ。俺は調査に戻る」  そう言うとヒイロは彼女達の前から去っていった。  ホテルに戻った三人は手紙を開く。手紙にはこう書いてあった。 『拝啓 リリーナ・ピースクラフト嬢  あなたと親しい関係にあるヒイロ・ユイ氏を通じてこのような連絡を行うことになりましたことをお許し頂きますようお願いします。  あなた方から喪黒一派の動きは聞いています。我々GINも喪黒一派への牽制を進めています』 「ノイン、この手紙の内容とヒイロの報告をトレーズに」 「かしこまりました」  ノインは早速ノートパソコンを立ち上げるとトレーズにメールを送った。  一方、壬生国のゲリラ組織・チューブでは…。  壬生国議会初代議長だった村正が義理の弟である吹雪を携えて厳しい表情でカイオウと話し合っていた。 「議会の方だが、確実にメンバーをそろえている。君のゲリラ組織にいつでもメンバーは回せる」 「そうか、うぬのおかげで助かる」 「君も以前と比べると変わったな。理念の為には手段を選ばなかったのが、理念を守る為には順序と論理を通すようになった。これで人はついてくるはずだ」 「以前の俺は傲慢だった。恥ずかしいほどだ」 「ずいぶん企業の買収が進んでいるようだな、カイオウ。兄上、GINの動向はどうなっているようだ」  吹雪が厳しい表情で話す。 「ちなみに、GINが内偵を始めたようだがどうもいずれも証拠隠滅の為全て口頭による指示が行われていたようだ」 「そこまで狡猾な手法を用いていたのか…。吹雪、経済面での奴らの暗躍はどうだ」 「それと、喪黒福次郎が暗躍をしている。持ち株会社である東京建設グループ傘下の喪黒組が壬生ハイコートスクエアなる建設計画を埋め立て地にぶち上げたが、どうもその周辺の土地も開発規制が解除されていつの間にか奴らの持つ不動産会社に買い叩かれていた」 「リブゲートはびっくり箱そのものだな…」 「ところでうぬに徳川家康下院議員が接触してきたようだな」  徳川家康は壬生国・静岡出身であり、静岡特別市長から壬生国議会議員を経て下院議員になった大物である。村正とは茶道で知り合いなのだ。 「ええ、私の教え子達の動向を気にしていましたよ」 「少数野党になって大変だろう…」 「ええ、そこで何人かチューブに参加しているでしょう」 「ああ、俺もおかげで動きやすくなったわ」 「朽木白哉もウェールズのパタリロ国王と連携して動き始めている、すでにチューブにはゼーバという財政面を担う切り札を加えてもらった」  ゼーバは壬生国の財政を見事に立て直した辣腕財務担当者であり、リブゲートのやり方に反感を持っていた。 「地下協議会の動きは」 「君の動きと連動して動いている。近々壬生国軍出身のメンバーを加え、君達と話し合いを行いたいと言っていたぞ」 「それは大いに歓迎する、いつでも待っていると伝えてくれ」  そこへ電話が入ってくる。カイオウは電話に出る。 「もしもし、カイオウだが…」 「壬生医療大の北見だ。カイオウ、お前の弟から話は聞いた」 「そうか…」  男は北見柊一だった。ちなみに彼と四宮蓮がラオウの主治医なのだ。 「俺達は壬生国から撤退はしない。案ずるな」 「すまぬ…。このままの情勢では内戦は避けられない…」 「できれば避けたいのが俺達の思いだが…」 「そうあってもらえるとな…。ラオウの状態は知っての通りだ…」  そして、その翌日の新聞…。 「なんだこりゃ!?」  溝呂木眞也はびっくりして新聞を見た。経営不振に陥っていた食品大手の富士食品がIT・バイオ大手のリブゲートに時間外取引で子会社になったというのだ。しかも、会社更生法を申請した鍵和田建設のスポンサーに喪黒の弟の福次郎が率いる東京建設グループが就任するというのだ。 「凪、新聞を見たか」 「見たわよ、これってあり得ないわよ」 「弧門君に電話を入れなければ…」  そこへ電話が来る、溝呂木は電話に出る。 「溝呂木さん、先ほど新聞を見ましたか」 「見た。弧門、一体リブゲートの資金はどうなっているんだ。買収で体力が弱っているのにこんな体たらくとは…。壬生国の予算が横領されている可能性がある」 「しかも、富士食品は食品部門をライバル会社に売却して、バイオ部門だけを保有するじゃないですか」 「虫が良すぎる。他にも連絡は取ったか」 「すでにGINの今津さんに話しました。あの方も呆れていましたよ」 「財前さんに俺の方から連絡するが、あの人も奥さんも動けないぞ」  財前丈太郎と潤子の二人はGINで資金面での管理を引き受けている為金銭を用いる際には規制がかかっているのだ。  その前日…。 「しかし、あんた達も思い切ったギャンブルを決めたねぇ…」 「東和不動産を俺達名義で買収しているが、俺達に野心が芽生えてきたんでね…」  三島正人と根岸はぎらついた目で言う。そんな二人に呆れ顔の夫婦。 「麺吉さん、俺達はこの物件を個人的に買い取ってあんたに譲渡するよ。それと支援への恩返しは別だけどね」 「知っているさ。そんな焦って返さなくていい」  王鈴玲(ワン・リンレイ)の夫である赤城亮介は冷静に話す。この男はラーメン屋を経営しており、屋台から千葉県の駅前にラーメン屋を6店経営しているのだ。ちなみに鈴玲は広東人民共和国から企業の本拠地を千葉に移した九龍ホールディングスの経営者でもある。 「そうか…、やはり御坊一族がリブゲートと絡んできたか…」  広志は厳しい表情でメールを見ていた。メールはソレスタルビーイングのトレーズ・クシュリーナダからだった。側にいた野上良太郎が困った表情で話す。 「CEO、こうなると…。涼宮議員は献金の事実を明らかにしています、そうなると逮捕できませんよ」 「全くだ、この前ゴリラのメンバーとの情報交換でも懸念材料になって示された。ゴリラの永井仁清もシバトラも憤慨していて、亀田呑に諫められていたぞ」 「温厚なシバトラさんが切れるなんて…。困った相手ですね…」 「クリス、君はトレーズの補佐をしばらくして欲しい。君は我々とソレスタルビーイングの要を努めて欲しい」  厳しい表情で頷く精悍な青年。彼はUSGINから出張しているクリストファー・マッカンドレスといい、あのハーバードのロースクールを出たばりばりの弁護士でもある。捜査官としても優秀な人物で、2年前にアラスカのUSGIN支部を立ち上げた辣腕ぶりだ。 「トレーズ様は『アメリカの非難決議を出したいが拒否権で何もできない』と悩んでいました」 「そうか…。やはり彼も…」 「CEO、ソレスタルビーイングとの連絡はどうですか」 「一人、どうもリブゲートと絡んでいる人物の秘書として内偵捜査をしている、詳細までは分からないが」 「トレーズ様から僕が聞き出しましょうか」 「いや、やめておこう。ブルースの顔を潰してしまう」  ちなみにブルースとはブルース・ウェインのことでUSGINのCEOである。ウェイン・エンタープライズの社長であり日米両国の国籍を持っている。 「僕の命を救ってくれた『手遅れ』先生、どこにいるんでしょう。トレーシーも彼に会いたがっています」 「そうか…。だがもう少し待って欲しい、彼は多忙なんだよ」  ちなみにクリストファーはアラスカの基地を立ち上げた際、基地が事故に巻き込まれてしまいヘリポートが使用出来なくなり一ヶ月の間食事がとれない危機に陥った。その際に身につけたサバイバル能力はGIN全体のマニュアルの元になった。自身の食料を最小限にして部下に多く分け与えたその姿勢をブルースは高く評価していた。また、クリストファーには生まれながらの調整能力があり、年の離れた若者から夫婦、そして老人に至るまで全てをまとめ上げてアラスカ支部の立ち上げに成功した上、事故に遭遇した際には手際な指示を出したり助言を受けたりしてその危機を乗り越えた。実はその時にクリストファーは重傷を負っていたが怪我を隠して死ぬ寸前まで追いつめられるほど必死になって部下達を守った。  そして死ぬ寸前まで追いつめられるまで部下を庇い守り続けたその姿にトレーシーは思いを寄せ、そして結ばれたのだった。ちなみに彼を治療したのはあの中村吉之助であることは広志だけの秘密であった。その時だ。 「ラララ…」 「綺麗な歌声だな。メールが入ってきたのか」 「ええ、トレーシーの歌声を着信音にしています」  ちなみにトレーシーは妊娠中の為、広志の指示でアメリカに残っているのだ。出産一ヶ月前までは日本での任務に当たらせることで広志は動いていた。 「エズフィトですが、最悪の状況になってしまいました…。トレーシーから連絡が来ました、アメリカ政府は統治官人事に最悪の人選を行っているようです」 「君の言うとおりだ、無実の高等自治官が絞首刑になるとは…。アメリカへの反発は必至だ」  広志がため息をつく。その通りになってしまった…。  その頃、エズフィトの宜野湾では…。  かつて太田洋一という、名政治家を生み出したこの国は今やアメリカの軍政下にあり、徹底的な統制経済が行われていた。人々は息詰まる毎日である。さらには学校までが閉鎖され、英語だけが公用語になってしまう有様だ。  太田を尊敬していたヤノシュ・ネイロス市長は新自由主義の要素を取り入れつつも徹底的な課税強化を図っていた。そのためにネイロスへの不満は少なかった。タックスヘイブンとは言えども、法人税や所得税には厳しいのがエズフィトだった。さらには議会制民主主義も強化され、徹底的な議論が行われていた。  それがアメリカの侵略で全て台無しになってしまった。デビット・ザンビエフは沖縄地方の茶をたしなみながら険しい表情で新聞を読む兄のサムソンに話しかける。  「兄者よ…、悪い予感がするな…」  「私も同感だ。我々の会社が乗っ取られる程度ならまだしも、連中は強引な手法でアメリカ化を加速させようとしている。既に穏健派のアメリカ人が反発してデモを起こしているようだ」  ザンビエフ兄弟は台湾にあったアジア信託銀行を買収してエズフィトに本店を移してアジアを代表する信託銀行に成長させていた。アメリカは軍政下においた際に真っ先に株式を強制接収し、さらに連鎖して沖縄信託銀行とわかしお証券を乗っ取った。そしてアメリカに雇用を移し、現地従業員は全員解雇した。  さらに暗躍を始めたのがあの乗っ取り屋のゴードン・ゲッコーだ。彼はアイルランド大手のエネルギー企業・アイリッシュ・ペトラムを乗っ取ろうと暗躍し始めたのだ。  一方、そのエズフィトから更に南西にある波照間島。この島にあの教育法人『逆十字会』が建てた私立南十字学園があった。 「何だと!?間違いないのか!?」 「…嘘!?」 「俺たちの顧問が…、ミューラー先生とジンが…」  学園内の校舎の一角にあるパズル部の部室で大門カイト以下全員が悲しみにくれていた。ヘルベルト・ミューラーと間方ジンはカイトたちの通う学園でパズル部の顧問をしていた。だが、統制経済に反対するデモに参加してアメリカ軍に狙撃され、最後は搬送先の病院でパズル部の部員たちに看取られる形で息を引き取った。 「解けねぇパズルじゃねぇか…!アメリカは許せねぇ…!!」 「落ち着け!お前の辛さは僕達が支えると決めただろ!?」  ルーク・盤城・クロスフィールド(愛称:ルーク)が泣き崩れるカイトを慰める。カイトはアジア戦争で実の両親を失い、イギリス系エズフィト人の解道バロンに引き取られていた。カイトの中で凄まじいフラッシュバックが蘇っていた。 「そうだよ、カイト。私だってカイトの辛さを受け止められるもん。だから…」  井藤ノノハも彼の肩にそっと手を置いて慰める。彼女はカイトが引き取られた先の近所に住んでいたので彼とは幼馴染と言っていい。 「クソッ!!アメリカの野郎め!!エズフィトを乗っ取ってテメエは自由気ままかよ、ふざけやがって!!」 と憤る逆之上(さかのうえ)ギャモン。彼もまたアジア戦争で実の両親を失い、妹のミハルを特技であるパズルを利用してパズル作家として活躍し、彼女を養っている。 「当り散らしたってしょうがないよ、ギャモン。落ち着けって」 と宥める白衣姿の金髪の少年、キュービック・G(ガロア)。 「何言ってやがる!!俺達の顧問が二人とも殺されたんだぞ!!これが黙っていられるかってんだ!!」  ギャモンの怒りは収まらない。その時ガラガラと部室の引き戸が開き、二人の少年と一人の少女が入ってくる。 「タクト…」 「スガタにワコ…テメエ等何のようだ!?」  怒りの表情のまま、入ってきた三人に問うギャモン。 「聞かせてもらったよ。君達の顧問が殺されたって」 「隣からアンタの声が響いてたわよ、煩いほどにね」  入ってきた三人、ツナシ・タクト、シンドウ・スガタ、アゲマキ・ワコはパズル部の隣にある演劇部『夜間飛行』の部員である。 「それがどうした、テメエ等には何の関係もねえだろうが!!」 「ところがそうでも無いんだな、これが」 とまだ怒りが収まらないギャモンにタクトが言う。 「何!?どういうことだ!?」 「君達の顧問が参加していたデモにこっちの顧問も参加していたのさ」 「何だと!?本当かそれ?」 「ああ、尤もこっちの顧問は米軍に捕まって刑務所の中さ」 「それだけじゃないわ、我望学園長もエズフィトに学会があって出張していたんだけど帰りにデモ隊と米軍との衝突に巻き込まれちゃって一緒にいた速水校長先生と天文部の顧問の江本先生、それに学園長のボディガードの立神さんが米軍の横暴を止めようとしたら校長先生と江本先生が兵士達にリンチを受けちゃったのよ」 「…」 「その場から立神さんが二人を何とか救い出したんだけど校長先生は死んじゃったし、江本先生は意識不明の重体よ」 「…ひどい、酷過ぎるわ」 「ああ…」 「アナも初めて聞いた…」  パズル部の面々は絶句した。 「なあ、そうなると…この学園は…」 「当然、アメリカに目をつけられるな」 と冷静に答えるスガタ。その時、 「…俺は決めた!」 とカイトは涙を振り払って叫ぶ。 「カイト…?何を…?」 「学園内で『アイアンエンジェルス』ってレジスタンスが結成されたって聞いてるだろ。俺、そこに参加することにした!!」 「え!?」 と彼の発言に戸惑うノノハ。 「おう!!それでこそカイトだ!!面白えじゃねえか!!俺も参加するぜ!!」 とギャモンが彼の発言にいち早く賛同した。 「ま、待ちなさいよ二人とも!!アンタ達、戦場に行くのよ、戦場に!!どういうことか分かってるんでしょうね!?」 と二人を止めようとするノノハ。 「決まってるだろ!?米軍の横暴をこれ以上許しちゃならねえんだよ!!」 「そういう事を言ってるんじゃないの!!いい、要は人が殺しあっている真っ只中に行くってことよ。銃弾が飛び交って、爆弾が爆発している中によ…死ぬかもしれない所に飛び込むなんて…私…考えただけでいやよ…カイトが…」 「ならテメエは残ればいいだけじゃねえか」 「何ですって!!」  ギャモンの冷たい一言にノノハが怒り出すが 「やめろ二人とも!!なあノノハ、俺は確かに戦場に行く。そりゃあお前の言うとおり、死ぬかもしれねえ…けどよ、さっきスガタが言ってたろ、校長達が巻き込まれたことによってアメリカにこの学園が目をつけられたって。という事は明日にでもいや数時間後にでもここに米軍がやってくるってことだぞ。そうなれば俺達だって拘束されるかもしれねえってことだ」 「…」 「それにこれ以上先生達のような犠牲者が増えるを黙って見ちゃいられねえんだ。心配してくれるのは分かるけど俺は…俺はこの解けねえパズルに挑戦してやる!アメリカという国家が出したパズルにな」 「…カイト」 「なら決まりだな。僕も参加することにしたよ」 とカイトの言葉を聞いていたタクトも参加を表明した。それに同調するように 「なら僕もだ。一緒に解こう、この難解なパズルを」 「僕もだ、カイト。僕だってじっとしてられないよ」 「アナもやる!」 とル−ク、キュービック、それにアナ・グラムも参加を表明した。尚このアナ・グラム、一見女性に見えるが実は男性であり、女装しているのは彼が性同一性障害者だからである。 「ルーク、アナ、それにキューちゃんまで…」 「おいおいちょっと待てアナ!!オメエ、絵を描くことぐらいしかできねえだろうが!!」 「アナ、絵書いて米軍のことやエズフィトの現状伝えること出来る!」 「みんな…」  彼等パズル部員の決意を聞いたノノハは黙っていたが 「…分かった、もう止めない。でもその代わり私も参加させて!!」 と彼女もアイアンエンジェルスへの参加を決意する。 「え!?ノノハちゃんも!?」 と驚くワコ。 「だってパズル部全員戦場に行くのに私だけ留守番なんていやよ!それに、それに私も記憶能力なら誰にも負けない!!それだって戦場で生かせるから」  ノノハは人並み外れた記憶能力を持ち、一度記憶したことを全て思い出せるのだ。 「スガタ君はどうするの?」 「どうするって…まさかワコ」 「そうよ、私も参加するわ。ノノハちゃんが参加するって言ってるんなら私だって参加しないわけにはいかないでしょ」 「…しかし」 「まさか『危ないからだめだ』って言うつもり?いやよ、タクト君やパズル部のみんなが命賭けてるのに危ないからって私一人安全な場所にいたくないもん。…それにこの学園だって危ないんでしょ、なら皆といた方がいいに決まってる」 「…ワコ」 「よし!なら行こう。学園長のところへ」  パズル部と演劇部の面々は学園長室に向かった。 「…お前達、自分達が何を言ってるのか分かってんのか!!」  学園長室で彼等に怒鳴りつけたのは我望ではない、彼の秘書兼ボディーガードをしている立神吼(こう)であった。 「当たり前だ!!これはもう俺達で決めた事だ!!」 と言い返すカイト。 「いいや、お前達は何も分かってない!!戦場という所が…」 「うるせえ!!立神さんよ、アンタこの学校の教師が米軍の横暴で死んじまってるのをその目で見てるんだろうが!!悔しくねえのかよ!?ここにも米軍が来るってことも薄々気づいてるんだろうが!!」 「何だと!!」 「やめたまえ!!」  立神とギャモンが言い争おうとするのを今まで黙っていた学園長の我望光明が止めた。 「学園長…お言葉ですが」 「立神君、彼等の気持ちも分かってやってくれ。本当ならば私自ら彼等のような志願者を率いて行きたいぐらいなのだ」 「…じゃあ、いいんですね」 と我望の意志を確認するタクト。 「そうは言ってない、今私は正直言って悩んでいるのだよ。確かに米軍は憎い、速水君やミューラー君それに間方君は殺され、江本君は意識不明にされたのだからな。だが私にはこの学園長としての立場がある。君達生徒をそう簡単に戦場に出したくはない。若い命を捨てるような真似はして欲しくないのだよ」 「チッ、はっきりしねえなぁ」 「ギャモン君、学園長の気持ちも分かってあげてよ。学園長だって…」 「んなこたぁ分かってんだよ!許可するかしねぇのかはっきりして欲しいんだよ!」  その時、ガチャッと音がして学園長室のドアが開き、一人の男が入ってくる。 「…相当迷っているようですねぇ…」 「理事長…」  入ってきた男はこの南十字学園理事長であり、教育法人『逆十字会』沖縄支部長の解道(かいどう)バロンだ。尚、彼は両親を失ったカイトの養父でもある。 「君達の話は聞かせてもらいました。いいでしょう、全責任は私が執るという形で許可します」 「本当ですか!?」 「やったね、カイト」 「但し条件があります。これを呑まないことには行かせるわけにはいきませんねぇ」 「あ!?さっき許可するって言ってたじゃねえか!!」 「ええ言いました、ですが君達を犬死にさせるわけにはいきません。引率者が必要です」 「引率者!?」 「僕ですよ」 と言いながら入ってきたのは 「軸川先輩!!」  そう、この学園の生徒会長である軸川ソウジであった。 「彼に引率者となってエズフィトに行ってもらいます。いいですね」 「俺は別にかまわない、 軸川先輩なら問題はない」 「私も!!」 「アナも!!」 「ギャモン、君は?」 「…まあいいだろう」 「ならこれで決まりですね。ですが必ず全員生きて帰ってくるように、これだけは絶対にお願いします」 「はい!!」  こうしてカイト達はエズフィトに向かうことになった。 その翌日の鹿児島…。 「そうか…、エズフィトに渡るのか…」 「ああ…、本郷の誘いは魅力的だったが、エズフィトにアメリカが侵略したことは我慢ならねぇんでな…」  顔に傷が残る鋭い目つきの背広姿の男に野性的な男が答える。男の名前はロロノア・ゾロといい、本郷といわれた男はあの今津博堂の息子であり、GINに所属している本郷由起夫だ。二人は同級生だったこともあり入魂の仲だった。本郷は墓に水を掛ける。この墓に眠るのはゾロの幼き頃のライバルであり初恋の相手だったくいなである。三人は小さい頃から一緒に道場で競い合いながら育っていた。 「本当だったらあんたを誘いたかった。だがあんたはGINの任務だ、無理して誘えんよ」 「くいな嬢が生きていたら君に喜んでついて行っただろうな…」 「ゾロ、墓参りは済んだか?」 と彼に近づく金髪で針鼠のような髪型をした男。 「ああ、今終わった」 「そうか、では行こうか。ハルが待ちくたびれてる」 とその男は言う。 「すまねぇ、待たせたな、んじゃ行くとするか」  三人は墓場を去った。 「なるほど…、お主らは今回エズフィトへ渡るのか…」  博堂はニヤリと笑う。博堂は鹿児島で今津武術道場を運営しており、忍術コースから剣術コースまであり、通信制で高校まで通える仕組みなのだ。  今は土門太郎(愛称:ドモン、浅見竜也の親友で格闘家)の末弟・研五郎が総師範を引き受けており、博堂の隠し子である春日響と婚約している。ゾロは強い瞳で博堂に言う。 「俺達はアメリカ軍の侵略が許せねぇんだ。それにクラウドが一番許せねぇ思いをしている」 「ワシも無実の高等自治官が公衆の面前で絞首刑になるのは許し難い。あれでアメリカ軍は大きな自滅を被った。高野君も呆れていた始末じゃ」 「大衆の目の前で絞首刑だ、しかもテレビで実況中継なのだからあのアムネスティからも非難決議が来たほどだ。俺達は恥ずかしくて何も言えない」  灰色の髪の青年、ハル・グローリーが苦々しい表情で言う。 「エズフィトは間違いなく泥沼になる。恐らく解放戦線が立ち上げられるはずだ、でなければ俺達が立ち上げる」 「それについてじゃが、エズフィトで銀行を経営していたザンビエフ兄弟をリーダーに解放戦線を立ち上げる計画がある。彼らはワシの知り合いじゃ、しかも彼らが経営していたアジア信託銀行も強制接収されて二人とも激怒しておった」 「よし、俺達はそこに参加しよう。今津先生、連絡を取れますか」 「ワシの手紙を携えて行くがいい。ゾロよ、お主はよく頑張っておる、本来ならこの道場をお主に託したい程じゃ、じゃがエズフィトを助ける為ならワシも尽力する事を約束しよう」 「今津先生、調べてもらいたいことがありますぜ」 「ほう、良かろう」 「傭兵集団でとんでもない連中がいます、『ダークギース』という連中で、クラウドは奴らに初恋の相手を殺されたんです。奴らの動向を調べてもらえませんか」 「そうじゃったのか…。良かろう、ワシの中華連邦とのコネクションを使おう」 「今津先生、恐らくダークギースは紛争化するエズフィトへ必ず来ます。その際に奴らを倒したいんです」  クラウド・ストライフの瞳が博堂を見つめる。彼のロケットには初恋の人であるエアリス・ゲインズブールの写真があった。今津は近くにいた中国人に目配せする、彼らは広東人民共和国からの亡命者でいずれも日本国籍を取得している。今津は彼らを保護し、鹿児島の限界集落にGIN所属の屯田兵として移住させて農業の振興に力を注いでいた。そのため、人々から慕われていたのだった。 「ワシは表だってお主らを支援することができん。じゃが、水面下で支援を行おう。武器も持てる限り持つがいい」  その3日後…。  エズフィトに住む少年たち、フェニックスたちは師匠としたっているサムソン・デビット兄弟に招かれていた。二人の厳しい表情からフェニックスはレジスタンスを立ち上げる意向であることを見抜いた。 「私たちはあれからある伝からエズフィトをすくいたいという申し出があった。その伝は言えぬが、『アイアンエンジェルス』を立ち上げる決心を固めた」 「本当ですか!?」 「ああ、俺たちも説得した」  そう言って入ってきた二人の青年にフェニックスは驚いた。 「サラジンさんにミノス…」 「エズフィトは俺たちデザイナーズチルドレンを温かく受け入れた国だ…。そんな国をアメリカが私物化しようだなんて許せない!」 「ミノスの言うとおりだ…。お前たちも立ち上がったことは今知ったが、マスターPも加わりたいと志願しているぞ」 「みんなが…」 「お主達の怒りはよく分かる、兄者もワシも戦う準備を進めておる。ワシの教え子のディオの敵を取る決心じゃ」 「デビット様!」 「フェニックス、そのためにはお主らにも強くなってもらわねばなるまい。いいな」  すでにデビット達は市民を多く募り、更には傭兵達を集めていた。だがその選抜には二人が厳しく面談を行っていた。この事が後で吉となろうとは誰も思わなかった…。 「ワシはナディア様、メディア様、ノア様に手紙を書いていただき、オーブからの支援も取り付けた。メディア様は娘であるオリン様を殺されたのじゃ。無惨と言うしかあるまい時によく動いていただけた」  しかも、絞首刑直後にディオの恋人だったボルカンヌ、ベリーの幼なじみだったセレンスが焼身自殺してしまった。これで多くの人達はアメリカへの怒りをあらわにした。彼らはザンビエフ兄弟に立ち上がるよう要請し、二人は熟慮の果てに立ち上がる決心を固めた。 「アイアンエンジェルスという組織は心優しいが意志の固い象徴だ。我ら一同戦うことを誓う!」 「アイアンエンジェルスには協議機関が必要ですな」 「当然、設置するさ。バロンさんには民政部門の議長になってもらう。ルークもカイトも泣いている暇はないぞ」 「ああ…。この国を取り戻す…!!」    その4日後、アメリカでは…。 「『第八部隊』がアイアンエンジェルスなる組織に占拠されただと!?」 「大統領閣下、相手は我々の想像を絶するスピードで組織を乗っ取ったようです。しかもコンピュータハッキングで情報は完全に乗っ取られてしまいました」 「まるでパズルのような相手だ」  ニコラス・ベネットはいらだちを隠せない。第八部隊はおもにアフリカ系移民で構成されており、しかもほとんどが穏健なクリスチャンだった。 「大統領閣下、奴らからの要求です!」 「何…!?『第八部隊』の家族や親族全員をチトワンに移住させろだと…」 「『受け入れを拒否すれば一人づつ絞首刑にする…』おのれ、なんということか…!!」  その頃、エズフィトでは…。 「しかし、私達全員の投降を受け入れたばかりか仲間として迎え入れるとは…」 「当然でしょう。不要な殺傷を俺たちは好みませんよ」  ルークは涼しげな表情で言う。第八部隊の司令官であるマイケル・ハードックは苦笑いする。 「私達白人とアフリカ人とのあいだの差別に漬け込んで侵入して、私を人質に取るとは大したものだな、カイト君」 「でも、今のあなたは俺たちの仲間です。投降して共にエズフィトのために戦うと約束した以上俺たちの仲間じゃないですか」 「その仲間のために家族を取り戻す。当たり前のことですよ」 「今後、私達白人とアフリカ人とのあいだの壁をどう壊していけばいいか、知恵を貸してもらえるか」 「ええ、俺達も協力します。まさかあなたの奥さんがアフリカ人と白人のハーフだなんて…」 「それだから差別には腹が立つのでね。君たちとグルになって人質になって惨めな表情を演出することにしよう」 「あれで家族や親類が日本に来ればいいですが…」 「来るさ。ゾロくんの名演出には感心する」 「あんたには頭が上がらねぇぜ。投降してまさか仲間になって、人質役を買って出るとは…。アメリカ軍に未練はないのか」 「ないさ。この戦争はそもそも侵略戦争だ。そんな戦争に手を出したくはない。ましてやアメリカのためにもならないさ」 「じゃあ…」 「アメリカに未練はない。この国にこそ希望を見た」  ゾロと一緒に来たハル、クラウドはハードックの部下であるアレン・トマージュ、エマ・ネルソンと部隊の再編成で忙しい。第八部隊全体が投降することでアイアンエンジェルスは大きな戦力を手に入れた。そのために民政部門の強化は待ったなしで、軍人からも何人か協議機関に参加することになった。ちなみにアレンはメキシコ人とアフリカ人の、エマはアイルランド人とアフリカ人のハーフである。 「国旗に関してはたとえ敵国であっても焼き捨ては許すな」 「ああ。俺が止めたさ」  ルークが言う。過激な愛国心をサムソンやデビットは懸念していたのだ。  その3週間後…。 「やはりヒロの不安が的中してしまったか…」  渋い表情でマルス・ベネットが広志と話す。 「君の父はとんでもない誤算をしてしまった。制度をアメリカ化するにしても強引に押しつけたのが自滅だ。そして高等自治官をあんな風に処刑するとは…」 「僕もヒロの考えに賛同する、僕はアメリカ人であることを誇りに思うが、あんな扱いをしては反発は必至だ。僕はベトナム化する懸念を強めた。ハードック司令官がアイアンエンジェルスに寝返った上、ソルジャーハンターというメンバーに『お前ら侵略者どもにはこれから塗炭の苦しみをたっぷり味わらせる』と言われては…」 「そうだな…。俺が懸念しているのは、内戦の果てだ。まずベネット大統領はあの挑発に確実に乗る。そうなれば泥沼化してしまうぞ」  アイアンエンジェルスによる米国軍奇襲作戦が相次いでいる、3つの精鋭部隊を乗っ取り、第八部隊が説得を行った上でそのメンバーの一部を自軍に取り込んだ上、残りは武装解除させて農漁業に従事させていた。しかも、そこがネズミ講のようにエズフィト軍の空軍基地を奪還したのだ。 「エズフィト亡命政府はオーブやチトワンに支援を依頼して、あのパトリック・ザラ元首相が二つ返事で賛成を表明したそうだ」 「彼は反米色がやや強いが、アメリカ人のスタッフも受け入れる穏健色の強い政治家だ。マルス、彼は相当激怒したようだな」 「あのムルタ・アズラエル厚生労働相も賛同した。『アメリカのいいところは受け入れる』と度量の大きい政治家だが、エズフィト侵略には激怒したそうだ」  マルスは経営参画しているオーブの製薬メーカーの経営陣の一人だけあり、オーブからの情報が入ってくる。ちなみにその会社はアズラエル一族が経営しており、今はムルタの妻であるノラが経営している。だが新薬の申請の時には彼は関わらないようにしている。それほどアズラエル一族は公私混同を嫌い、また三人の養子を受け入れた。その三人があのオルガ・サブナック、クロト・ブエル、シャニ・アンドラスだったのだ。三人ともキラの護衛を務めている。 「フラガ三兄弟も賛成し、あのエザノア・ジュール前教育相やギルバート・デュランダル議長と一緒にイギリス帝国と協調してアメリカ国内のロビイスト活動を始めたそうだ。オーブの外交はしたたかだと言うことを君の父は知るまい…」 「全くだ…。僕も警告したが聞く耳を持たない…。ただですら君の情報網で父の情報は漏れているのに…」  二人は悪い予感を感じていた。そして壬生国での混乱…。それが大きな混乱を引き起こそうとは誰も予想しなかった…。  作者あとがき:ここのところ、この作品の構想に大いに苦労しています。  さて、沖縄ですがアメリカの思惑に翻弄されるがまま、今回のオスプレイのような兵器の演習場同然に扱われている始末です。1972年に我が国に『返還』されたということになっていますが果たして今の状況で本当に『返還』されたと言えるのでしょうか…?   今回使った作品 『北斗の拳』:(C)武論尊・原哲夫   1983 『おぼっちゃまくん』:(C)小林よしのり 1986 『内閣権力犯罪強制取締官 財前丈太郎』:(C)北芝健・渡辺保裕  2003 『獣拳戦隊ゲキレンジャー』:(C)東映 2007 『涼宮ハルヒ』シリーズ:(C)谷川流  角川書店   2003 『機動戦士ガンダム』シリーズ:(C)サンライズ・創通エージェンシー 1979・1986・1995・2002・2004・2007 『ミキストリ‐太陽の死神‐』  (C)巻来功士  1990 『仮面ライダー』シリーズ:(C)石ノ森章太郎 2006・2007・2011 『バットマン』シリーズ:(C)DCコミックス 1939 『ONE PIECE』:(C)尾田栄一郎   1999 『ウルトラマンネクサス』:(C)円谷プロダクション 2004 『フロントミッション オルタナティブ』:製作 株式会社スクウェアエニックス 1996 『沈黙の艦隊』:(C)かわぐちかいじ   1988 『RAVE』:(C)真島ヒロ  1999 『Final Fantasy 7』:製作 株式会社スクウェアエニックス 1997 『ビックリマン』シリーズ:(C)ASATSU・東映アニメーション・ロッテアド 1987・1989・1992 『ファイ・ブレイン 神のパズル』:(C)矢立肇 2011 『STAR DRIVER 輝きのタクト』:(C)BONES 2010 『サザエさん』:(C)長谷川町子・長谷川町子記念館  1946 『神南署安積班』:(C)今野敏・ハルキ文庫  1997 『クッキングパパ』:(C)うえやまとち 1985 『Jドリーム』:(C)堀内夏子  1993 『ファンタジスタ』:(C)草場道輝 1999 『イントゥ・ザ・ワイルド』:(C)パラマウント映画  (原作:ジョン・クラカワー著の「荒野から」より) 2007 『SAMURAI DEEPER KYO』:(C)上条明峰  1996 『ゴッドハンド輝』:(C)山本航暉   2001 『殺し屋麺吉』:(C)富沢順 2004