剣が創りし世界、ラクシア。  三本の剣、ルミエル、イグニス、カルディア。世界を創りしこれらの剣は、「始まりの 剣」と呼ばれた。この三本の剣はこの地に現れ、命を創り、魂を創り、そして人が生まれ、 人はやがて三本の剣の存在を知る。そして三本の剣は自らに触れたものに神の力を与え、 この世界に神が生まれた。……“第一の剣”ルミエルに触れたものは「調和」の力を持ち、 “第二の剣”イグニスに触れたものは「解放」の力を持つ。そしてカルディアは、「叡智」 の力を授けるとされた。  この世界、ラクシアには三つの文明期があった。  神々が人と暮らしたとされる、神紀文明シュネルア。神の絶大な力を借りて反映してい たこの時代は、“戦神”ダルクレムが引き起こした神々の戦いにより滅びた。  高度な魔法文明で栄えたとされる、魔法文明デュランディル。現在の魔術体系を形作っ たこの文明は、突然消えうせるように滅びたとされている。  高度に発達した魔法の道具を使用する文明として栄えた、魔動機文明アル・メナス。  そして、三百年前に起こった、蛮族……人型の魔物の大侵攻、<大破局>……ディアボリッ ク・トライアンフ。文明は破壊され、国家はバラバラとなり、蛮族は勝利を収めたかに思 えた。  しかし、英雄たちによって蛮族の王は倒され、大侵攻は終結を迎える。  大神にも匹敵するとまで言われた蛮族の王……蛮王は、魔剣を携えた勇者によって討た れたと伝えられている。その魔剣は、“始まりの剣”に匹敵するものだと言われ、それを 持つ勇者もまた、神に匹敵する力を持っていたとも、現代では伝えられている。  だが、その勇者の一切についてを、誰も知ることは無い。故に、様々な説が唱えられ、 根も葉もない説までが声高に叫ばれるほどだった。時には、勇者などいない、ある国家の 連合軍がその電撃作戦によって蛮王を打ち倒したのだ、とするものもいる。時にはその説 が真実として受け入れられるときもあるのだ。  とにかく、この一連の事件は世界を揺るがし、大陸そのものの形を変えることとなり、 人が所有していた北の大陸、レーゼルドーン大陸は全域に渡って蛮族の跳梁する非常に危 険な地へと変貌を遂げたのだ。  この一件により、文明は大きく後退し、人の活動範囲は大きく狭められた。一度自分た ちが支配する領域を抜け出せば、たちまち危険がその身に迫るほどだ。  そんな中、剛胆にも世界を自由に旅する者たちがいた。  滅びた文明の遺跡から財宝や失われた知識を見つけ出すもの、襲い来る蛮族と戦うもの、 様々な者たちが、様々な思いを抱え旅を続ける。あるものは冒険に生きがいを感じ、ある ものは冒険に逃げ、あるものは死に場所や主を探し、またあるものは失ったものを取り戻 そうとする。  冒険は、人族の時代を切り開く最先端にあって、それは想像を絶する危険に満ちた存在 であった。だが彼らは、危険を承知で飛び込んでいくのだ。  人々はそんな命知らずな彼らのことを、「冒険者」と呼んだ……。