まったく…馬鹿だねぇ、私も。

  来るはずもない人をずーっと、待ってるんだから。

  私だって恋をするのさ。

  まぁ…仕事柄、恋をするなんていけないんだけどねぇ。

  あの人にはね、妻も子供もいるんだよ。

   それでも良かった。

  今だけは、今だけは、と愛してしまったんだ。

  愚かだねぇ、客に恋をするなんて。

  そうさ、私等にゃ客は金ヅルさ。

  でも好きになった、愛してしまった。

  あの人には帰る場所がある。

  そこは、ここでもなく、私でもない。

  神様の天罰だろうね、私にもあの人の子がいたんだよ。

  すぐに、死んじまったけどね。死産。

  私にはなーんにも残らなかった。

  悲しくて愛しい思い出と、寂しさだけ…か。

  あぁ、桜が綺麗だねぇ。

  酒に桜、そして私。

  綺麗だろう?

  私、今は休憩中でね、客の相手をしなくていいんだ。

  だからさ…

 







今だけは泣いていいだろう?