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時速30km出すのにありったけの勇気が必要だったころ 04年07月02日(金) |
テスト終わりました。もう後は授業も何もありません。 というわけで、現地の友人たちと授業終わったよパーティすることに。 会場は、ちょっと遠めの先生の家。 会場までのアシは、無論友人のバイクであります。 この国では、日本のように近距離間のバスや鉄道もなく、 もっぱらバイクが市民のアシであります。 しかも、素晴らしいのかなってないのかわかりませんが バイクに免許はいりません。 よって、大学生ともなればほとんどの子がバイク運転をマスターしており、 中学生ぐらいの子が運転している光景も見ます。 しかもメットレス、3人・4人乗りなど当たり前。 よく事故らないなーと思いがちですが、よく事故ってます。 で、今日。 待ち合わせ場所の大学構内で友人の一人いわく。 「あーもーめんどくさい。バイク貸すから誰か乗せてってー」 で、アサドリ答えていわく。 「ほんじゃ運転教えてよ」 で、友人答えていわく。 「いいよー」 ……え? アサドリ「マジ?」 友人「マジ。」 アサドリ「マジ?」 友人「マジ。」 …………えええええ!? というわけで、あれよあれよという間に話が進み、気づいたらバイクの上にとまっているアホウドリ。 どうするどうなるアホウドリ! 車のハンドルだって自動車免許とって以来一年まったく握っていないというのに! バイク運転なんて30秒前までカケラほども考えていなかったというのに! 日本ですら危うい運動神経で、この国の交通カオスをどうする気だアホウドリ! 大体バイクの構造なんてわかってるのかアホウドリ! そんな内心の動揺をよそに、着々と説明を進める友人。 「ここ(右ハンドル部のボタン)押すとスイッチ入るのね。で、ここ(右ハンドル)をゆっくりひねると進む。 あ、ここ(左足部のペダルみたいな物)を先に踏むんだよ。で、ここ(右足部の以下略)はブレーキね。はい、どうぞ」 講習、一分。 これで路上に出ろってかいアミーゴ! バイク各部の名前も構造もわからん初心ドリに運転させようっていう発想も相当ですが、 その後ろに乗ってこうっていう度胸のほうがものすごい。 「自爆テロ」の単語がふと脳裏をよぎりました。 何はともあれ、スイッチ(エンジン?)入れまして、 左足踏みながら右ハンドルをゆっくりとひねり…… グォン(すごい音)。 ぎゃお! 友人「あ、ゆっくり。もっとゆっくり」 グオオオンがっこん(すごい音、前後ゆれ)。 周囲に居合わせた大学生(知らない人たち)の笑うまいことか。 だだだだ駄目です代わってください。てかもうみんな先行っちゃってるし! というわけで、アサドリバイク初乗りはあえなく失敗と相成りました。 いいの。いいのよ。留学終了直前に事故るよりマシだわ。 自動車教習中だって時速30kmに命がけだったアサドリさん。 バイクマスターはまだまだ遠い夜明けであります。 |
君の名は 04年07月04日(日) |
と申しましても、人名の話題ではございません。 橋の名前です。 この国に日本がずいぶんと援助をしている、というのはいつかの日記でも書いたとおりですが、 そのうちのひとつに橋の建設があります。 この国におけるそれらの橋の中で特に有名なものには、 ・首都北東部と対岸の国道(この国の東部各州へ伸びる主要道路)を結ぶ橋 ・その国道をさらに東に行った地点で両岸を結ぶ橋 の二つが挙げられるでしょう。(以下「橋1」「橋2」) 川幅が広いため、両者ともかなり大きな橋で、 日本の技術力が遺憾なく発揮されております。 まず橋1。これはもともと1960年代に日本の援助で建設されたのが内戦時代に破壊され、 1990年代に再び日本によって修復されたものです。 現在は、首都と地方を結ぶ橋ということもあり、日々多くのバイクや車が行きかっており、 首都の大動脈のひとつとも言えるでしょう。 かように現地では、日本からの贈り物として大変に喜ばれている橋です。 さて、気になるお名前ですが、日本の地図にはこうあります。「○○(←この国の名前)日本友好橋」 そして、現地での通称。「チュローイチョンヴァー橋」 ほう、ならばこの「チュローイチョンヴァー」というのが「○○日本友好」という意味なのですな。と思った方。 ぜんぜん違います。 チュローイチョンヴァーというのは、その対岸一帯の地名です。 だから、要するに「瀬戸大橋」と同じ要領なわけで。 そして橋2。こちらは全長約1.260m、幅約12mの威容を誇っています。 地方から、あるいは地方へ人々や物資を乗せて走る長距離車両が主に通ります。 こちらはカラオケのビデオ(この国にもあるんですよ)のロケ地にもなり、 同じくこの国では大変に有名な橋です。 そして橋のたもとには、この橋の建設を記念した大きな記念碑が建っており、 そこには橋の名前とその由来などが日本語・英語・この国の言語の3つで刻まれています。 さらに、その周囲がそのままロータリーになっているという規模の大きさです。 そして、気になるお名前ですが。 こちらの政府の「日本語の名前をつけてほしい」という要請にしたがって 日本語で命名されました。 その名も「きずな橋」。 現地の通称、同じ。 私も地方に行った際、この橋を通ったのですが、そこで現地の友人いわく。 「この橋、立派だろう? アサドリの国が造ってくれたんだよ。ところでキズナってどういう意味?」 前置きが長くなりましたが要するに何を申し上げたいかと申しますと。 恩恵こうむった身でこんなこと言うのもあれですが、 組織のバックボーンや気合の大きさとネーミングのダサさはどうも正比例してる気が。 大丈夫ですってそんな根性入れて日本だの友情だの主張しなくたって 現地の人みんなわかってくれてますから! ついでに、いちいち車降りてロータリーの記念碑じっと見る人間もそうはおりませんから! とりあえず現地の同胞が恥ずかしさにもだえるような名前はよしましょうよ。ね? ね? と言うわけで、毎度毎度この橋のこの名前見るたびにドキがむねむねのアサドリさんなのです。 そういえば半年ぐらい前、首都の大通りいっぱいに 「○○(←おそらく団長名)虹のかけ橋訪問団」なんて横断幕も下がってましたっけ。 大学の制服で日々その下を横断しながら、 やっぱりドキがむねむねのアサドリさんなのでした。 |
P.I.P. 04年07月06日(火) |
P.I.P.(プリズナー・イン・プノンペン)。 無実の罪でカンボジアはプノンペンの刑務所に拘留された著者が その体験を元につづった衝撃のハードボイルド小説。 ……とは何の関係もなく。 レストラン「平壌冷麺(ピョンヤンれいめん)」へ行ってきましたよ。 首都の目抜き通りにあるこのレストラン、前々から噂を漏れ聞いていて、気になっていたのです。 なんでも、本物の北朝鮮のおねえさんたちの歌が聴けるとか。 しかも、踊りまで見られるとか。 偏見ですが、北朝鮮という国に対してのイメージともあいまって、私の頭の中では 真っ暗なホールの中、華麗にライトアップされたステージの上で 極彩色のチマチョゴリに身を包んだ美女軍団がさわやかな例のスマイルとともに 「あの方々」をほめ称える歌と踊りを一糸乱れず披露してくれる光景が繰り広げられていたりしました。 しかも、ステージバックは当然のことながら「あの方々」の巨大な肖像画。 注・あくまで私の勝手な想像です。 そんな偏見に凝り固まった思いを抱きながらの夕方6:30、暮れなずむ街。 友人(現地人)の車でいざレッツゴー、平壌冷麺に進路をとれ。 山越え谷越え、と言いたいところですが、目抜き通りを南下して10分もすればもう到着です。 店の前に車を停めます。が、ここ(駐車場、道路側)から店の中は見えません。 店と駐車場の間に仕切りがあるからです。……怪しい。(偏見) 意を決して入り口に近づきます。すると、ガラス戸の中は意外にも明るい。 普通のレストランの趣であります。 ドアの内側に立っているのは、ひざ丈スカートのワンピース(黒地に白のドット)を着たお姉さん。 切れ長の目の、間違いない東アジア系の顔をした、きれいなお姉さんでした。 にこやかに英語で挨拶して中に入ります。 ドアから覗いたとおり、店内は明るい普通のレストランでした。 駐車場側の壁面はほぼ一面がガラス戸になっていまして、外には多少の植木がおいてありました。 なるほど、確かにあの仕切りがなければ道路側から丸見えです。 納得。 入り口脇がカラオケステージになっていましたが、カラオケのあるレストランはこの国では別に珍しくなく むしろ国産(この国産)のレストランのほうがホール内暗かったりとかするので、 それに比べれば、日本人の私にはこの店はまったく違和感なしです。 重厚な木のテーブル。他の華僑系中級レストランなどとよく似たつくりで、 これも何ら不審な点なし。 そして、壁にかかった額。漢詩?と風物が描かれており、これもまったく不審はありません。 文句なく、普通のコリアンレストランの内装であります。 そしてウェイトレスのおねえさん達。全部で10人足らずです。 いずれも目元のきりっとした、涼やかな美女ぞろいであります。ううむ、北朝鮮的、なのだろうか。 あの黒地白ドットのワンピースが、どうやら制服のようです。 そして胸にはネームプレート。ハングルとローマ字の二重表記であります。 一人「キムジョン○○(←読み損ね)」という名のおねえさんがいて私は非常にびっくらこいたのですが、 多分その音自体はよくある名前の音なのでしょう。うん、きっとそうだ。 過剰反応はよくない。よくない。よくない。(自己暗示) お客はというと、初めはこの国(北朝鮮でなく)の人らしきお客もいるにはいたのですが、 私たちが入ってすぐに帰ってしまい、 ふと周りを見回すと、私たちの近くの席には韓国・朝鮮系と見られるお客さん (朝鮮語のような響きでした)が2、3組ほど、 ステージ近くの席には日本人のバックパッカーと見られるお客さん (Tシャツで日本語しゃべってました)が1組、 そして奥の席には中国系と見られるお客さん (声高に中国語と思われる言語をしゃべってました)が1組。 そして私は日本人で、 一緒に行った友人も、華僑系なのか中国・朝鮮・日本のどこにいてもおかしくなさそうな顔立ちです。 こうして、東南アジアの只中にありながら、この店は完璧な東アジア的空間を形成しているのでした。 まあ、何はともあれご飯であります。腹が減っては戦はできないのです。 料理のメニュー。これもハングルと英語で書かれていました。 料理の写真を撮ってアルバムに入れた手製のメニューもあり、なかなか親切です。 ここはお約束どおり平壌冷麺、あとは適当に焼肉(豚)やジャガイモのお焼き、餃子を注文しました。 料理が出てくるまでの間、カラオケステージのテレビで流れるカラオケソングに耳を傾けます。 今は誰も歌っていないのですが、テレビだけは流しっぱなしになっています。 歌は中国のポップスと思われる歌、それから朝鮮語の歌、英語の歌(ほとんどありませんでした)の3種類。 でも、中国以外の歌では背景が金○(←失念、北朝鮮の地名と思われる)の風景しかないのはなぜだろう。 英語の歌(Sailing)の時にもこの風景。まあ、確かに海辺の風景ですが。 そして関係ないですが、中国の歌。 言うまでもなくほぼすべてが漢字なので、我愛你とか有悲哀、有快楽(うろ覚え)とか、 思わず背筋を正して聴きたく(観たく?)なるような歌詞ぞろいであります。 さて、おねえさんが焼肉用の肉を持ってきてくれました。 テーブルの真ん中に鉄板があるので、この上で焼いて食おうというわけです。 おねえさんが鉄板のスイッチをひねります。……が、火がつかない。 何度試してもつきません。 かち、かち、かち、と、スイッチのひねられる音ばかりが空しく響く中、ふと私の脳裏をよぎった悪い想像。 いきなりテーブルごと吹っ飛んだりしねえだろな。 だって数ヶ月前にあんな事故あったじゃないですか、北朝鮮。 おまけにここは「この国」であります。 ヤバさにおいてはそれぞれ定評のあるこの2ヶ国、タッグを組めば最強です。 そんな私の不安をよそに、違うプラグにコンセントを差し込むおねえさん。 そして再び、かち。 ぼ。 あ、ついた。 心よりの安堵。 焼肉。ジャガイモお焼き。餃子。おいしゅうございます。 何ら不審な点なしッ! ……と申し上げたいところですが、焼肉。 なぜこんなにも脂肪が多いのですかッ!? 肉の50〜90パーセントが脂肪ではないですかッ!! これはそういう料理なのか、それとも肉の問題か。疑問はつきません。 ご飯頼めばよかったんじゃ、ということに気づいたのは、食事が終わる際でした。 焼肉に脂肪。お焼きにも油。餃子も重たい。 ……ご飯以前の問題ですか。ラインナップ間違ったか。 ああなんかもう焼肉残ってんのにお腹いっぱいです。北朝鮮の子供たちに申し訳ない。 問題はさらにもう一点。 おねえさんの歌は? 踊りは? ……と思い、心中ひそかに嘆き悲しんでいたところ、 食事が終わる夜9時ごろになって、ようやくステージに人が立ちました。 見覚えのあるユニフォーム。おお、おねえさんだ。 しかし、カラオケの設定に時間がかかっているらしく、歌が始まらない。 ようやく一曲目が始まったのは、約10分ほどしてからでしたか。 ……おおおお、待って悔いなし! まるで鈴を転がすような美声ではないですか。 拍手。拍手であります。そして奥の席から喝采を送る中国人客。 お楽しみはこれからだ。 二曲目。 イントロとともに、片手に造花のバラを持ったおねえさん4人が、 入り口前、ステージ脇のスペースにしずしずと出てきます。 ……おおっ、これが噂の美女軍団ダンス! 歌詞の内容はわかりませんが、鳥がさえずるかのような歌とともに お姉さん四人が造花を振りながらにこやかにダンス!! 観よ、一糸乱れぬこのアクション、「テーマ『友愛』」とでも名づけられそうな昭和70年代っぽい振り付け! 4人が集まって中央で花を掲げる動きなんか、わあ共産主義っぽい!(偏見) あ、あ、あ、怪しい! 嬉しくなっちゃうくらい怪しい!! 三曲目、四曲目と似たような調子で歌が進んでいきます。 踊りのステージは先ほども述べたように入り口前なので、 踊っている間は雰囲気的に非常に出て行きづらいのですが そんなこと問題ナッスィング! 全然OK! これは観なきゃ損でしょう。 ……などと喜びながら、ふとカウンターを見てみると。 そこには、仕事のないおねえさんたちがよくスタンバイしているのですが、 踊りが終わってしまえば、わりとどうでもよさそうに造花を片付けたりしているわけです。 何だろう、ステージ上と楽屋のこの温度差は。 私は、「平壌」と言うからには本気で北朝鮮的な店なんだろうと想像(←偏見)していたのですが、 もしかしたら、彼女たちとしては、と言うか、店のスタンスとしては、 あの歌と踊りは素(す)じゃなくてネタなんでしょうか。 国の方針としてやっているああいう全体主義的マスゲームとかダンスとか、 そういう物が、よその国の人たちからは奇異の目で、あるいは好奇の目で見られている。 そのことを日々感じながら、仕事として割り切ってやっているんでしょうか。 あるいは、北朝鮮の人々の中にもそういう、冷めたムードがどこかにあるのか。 それとも、本国から何百キロも離れたこの店だからなのか。 少なくとも、踊っているときの彼女たちの笑顔は いつかTVで見た北朝鮮の子供たちや女の人のそれとは違って、 口元だけで笑っている営業スマイルに見えました。 いえ、あくまで「そう見えた」だけなんですが。 ……とか思っておりましたら。 「冷麺でございまーす(はぁと)」 何ッ!? 冷麺忘れてた! ってかそんなこと言われたってお腹いっぱいですよおねえさん!! うわあ。 しかし何てったって店の名前が平壌冷麺なものですから、 冷麺を食べないことにはどうしようもありません。 大どんぶりの冷麺をお皿に取るべく、友人と二人でしばし格闘。 何てったって長いんです。長いんですこの冷麺というやつ。 そうめんやソバの比ではないぐらい長い。しかも滑ります。何でできてるんだ。 二人でもがき苦しみつつ、なんとか皿に冷麺をとり、ずるずるとすすってみます。 おお、非常にさっぱりしているではありませんか。 絶妙に唐辛子が利いて、油物でぐったりした体には最適です。 願わくは油物と一緒に出てきてほしかったんですが、それはこの際どうでもよろしい。 そんな格闘を二、三度繰り返し、本当にお腹いっぱいになってきたころ。 おねえさんが大きなはさみを持ち出してきて、どんぶりの中の冷麺をさくさくと切りました。 うわあ、取りやすそう。最後の最後にして。 おまけにスプーンまで出てきたぜアミーゴ! うわあ、取りやすそう。そろそろ満腹だけど。 こうして冷麺をほとんどその腹中に収め、計六曲ほどのショーが終わったところで帰ることにしました。 戸口でドアを開けてくれたおねえさんに「カムサムニダ(ありがとう:朝鮮語)」と言ったときの おねえさんの笑顔は本物と信じたい。 ……タイトルの意味ですか? そりゃあもちろんP.I.P.(ピョンヤン・イン・ピー←放送禁止音)でございますよ。 |
インスタント味噌汁とインスタントラーメンは味噌ラーメンを構成しうるか否か 04年07月07日(水) |
私は味噌ラーメンより醤油とか塩ラーメンのほうが好きなので 味噌ラーメンはさほど食べたことがなかったのですが。 日本食に飢えたあまり、ふと試みた実験。 タイトルのとおりであります。 インスタント味噌汁は先代の留学生が置いていって下さったものですが、 インスタントラーメンはこの国の隣国産です。 この国でも「ミー(中国語の『麺』から来ている)」と呼ばれて親しまれておりまして、 スープがアジア風味になっています(いえ日本もアジアですが)。 なので、このスープを味噌汁に替えれば、 理論上は味噌ラーメンが出来上がるというわけです。理論上は。 さっそく実行。膳は急げであります。誤字でなく。 ドンブリにインスタント麺をば投入。 ついで味噌と具をば投入。 ついでにラーメンについていた油のもと(油ですが)も投入。 お湯を注いで待つこと3分。 結果。 味噌汁にインスタントラーメンが入ったものとしか言いようが。 |
てれほんしょっきんぐ 04年07月12日(月) |
一週間ほど前、市場前のコンクリートの地面にケータイぶち落としました。 数日ほど前、自室のタイルの床にケータイぶち落としました。 二、三日ほど前、朝起きたら床にケータイぶち落ちてました。 今、ケータイ見事に止まってます。 助けて。 |
続・ぽいづん! 04年07月21日(水) |
うちの自転車置き場付近に 全長20センチほどのかわいい顔つきのトカゲがよく出没して その辺の物陰からなんとなくこっちをうかがっているので 自転車出し入れの際に微笑ましく見守っていたのですが、 つい先日、そいつが噛みつく種類で しかも人間死ぬくらい強烈な毒持ちであることが発覚。 信じてた女房に浮気された気分です。ってのは大げさですか。 この国では、見るからに毒持ってそうなタランチュラ的大グモを から揚げにして食べる習慣があります。 (実際毒グモかどうかは不勉強ながら確かめてませんが、 毒グモであっても毒抜きはしてあるでしょう) 口に入れる勇気さえあれば、これがレバーのようなお味でなかなかイケるのです。 欠点はと言えば、少々油っこいことでしょうか。 で、先日、から揚げ屋から脱走したとおぼしきそいつが 大通りをのそのそ横断しているのを目撃。 ああ世界はかくも広いのだなあと実感した次第であります。 |
あくまで好みの問題ですが 04年07月25日(日) |
ショウガ。 言うまでもなく、われらが日本ではおろしショウガや紅ショウガなど 薬味としてポピュラーな食材であります。 この国でもポピュラーな食材なのですが。 友人宅。 この家だけがそうなのか、それともほかの家でもそうなのか。 あるときはスープの。 あるときはチャーハンの。 またあるときは炒め物の。 メインの具がショウガなのです。 いや、体にはいいのでしょう。 病原菌とか健康とかには大変にいいのでしょう。 だって効くんですものそれはもう強力にヒリヒリと。 前回ご馳走になったときはスープでした。 今回はチャーハンと炒め物でした。 人の家でご馳走になっといてケチをつけるのは大変にいやなので、 ご飯の名誉のために一言。 ここの家のご飯は大変においしいです。ショウガ云々は単に私の好みです。 でも。 でも効くんですヒリヒリと。 友人1 「アサドリ、ショウガ食べられる?」 アサドリ 「うん、食べられる」 ええ食べられます。薬味程度なら。 で。 友人1 「アサドリ、白いご飯とチャーハンとどっちがいい?」 アサドリ 「し、白いご飯で」 友人2 「あ、チャーハン食べなよチャーハン(←無論悪意ナシ)」 アサドリ (あうッ!) こうしてアサドリさん、友人たちが事態を察してくれるまで 犬のごとく舌をへはへはさせながらショウガチャーハンを食していました。 ごめんなさい友人。ごめんなさい料理。ごめんなさいショウガ。 でもやっぱり薬味が一番ですよねショウガは。ねえ。ねえ? |
河辺にて 04年07月26日(月) |
河辺で夕涼み、がお気に入りとなりつつあります。 この国の河の広さは日本の比ではなく、 500m〜1km(見た感じ)と、まさに大河であります。 かように雄大な河を眺めつつ、その辺で売ってるスナック菓子をかじる。 うーんリラックス。たまりません。 この首都の人もそれを良く心得ていて、休日の夕方ともなれば 河辺の公園は親子連れなどでにぎわいます。 この首都では、人が集まる場所にはたいがい、物売りが現れます。 この場所も例外ではありません。 お菓子の袋を満載したザルを頭に乗せて売る人々、 道端でビニールシートいっぱいの工芸品のお店を開く人々。 大人だけでなく、10歳にも満たないような子供たちまでもが コーラ缶や水ペットボトル入りのバケツを両手で持ったり プラスチックの天秤棒の両端におせんべいや干菓子を下げたりして 売りにきたりするわけです。 その河辺にまつわるエトセトラなど。 ・エピソード1 お客様はカモ様です 子供の物売り、であります。おそらくは、学校に行けない子供たち。 何度見ても慣れない光景です。 それでも私は、大半の場合は買わないのですが、 あまりまとわりつかれると、ついつい買ってしまうのです。 この間もつい負けて、河辺で水入りのペットボトルを一本買いました。 私 「いくら?」 子供 「1000」 お、ずいぶん安い。まあいい、買うか。 そのまま1000払いました。 と。 つと近づいてきた別の女性が、無造作に同じ水入りペットボトルを手に取ると、 子供に500渡して去っていきました。 子供、何事もなかったかのようにそれをポケットに入れました。 500かッ! 私 「…………(ガン見)」 子供 「…………(ガン見)」 私 「……………………(ガン見)」 子供 「……………………(ガン見)」 連中、ちゃんと心得てるんです。アホな客とそうでない客。 外国人っぽい客、そして多分、値段聞く客には倍吹っかけてるんでしょう。 相場の分からない物を買うときは周囲を見てから、が鉄則のようです。 しわい客だな1000(約1/4米ドル)ぐらい払えよ、とヤツは思ってるでしょうが。 アホな日本人になってしまっている自分がなんか悔しいのですよ私は。 でも後の祭り。 ・エピソード2 万物は流転する 別の日、また負けて水を一本買いました。 今度は前回の教訓を生かすべく、500だけ渡して速やかに離脱。 何も言ってこないとこ見ると、やはり適正価格だった模様。 で、買って即後悔。あーあどうすんのこんなもん、みたいな。 そのとき、物乞いの子出現。 お金ちょうだい、といわれたので、その水をあげました。 金ならぬモノは天下の回り物。とか考えて、ふと。 あの物売りと物乞い、結託してねえだろな。 ええ、あげる私がバカなんです。無論。 |
鳥殺油地獄(とりごろしあぶらのじごく) 04年07月29日(木) |
先日、朝っぱらからチョコレートなぞかっ喰らいまして、 お昼ご飯は魚のフライ。わあい高カロリー! しかもそれをまた満腹になるまで食っちまったりしてました。 こうしてスタミナが体内許容量120%を超えまして。 なんかこうエネルギーに満ち満ちて、というよりは ムカムカに満ち満ちて自転車で外へ出たのです。 で、前々からちょっと気になっていたカフェに入ったりとかしてみました。 そこで、ウェイターさんがしずしずと差し出したメニュー。 一読。 これって全品食い物じゃねえかアミーゴ!(驚愕) ぜんぜん飲み物ないじゃねえかアミーゴ!(狼狽) 要するにレストランじゃねえかアミーゴ!(納得) しかも金持ち用価格じゃねえかアミーゴ!(戦慄) 仕方なしに、一番安いメニュー。 ・フランス風スープ(1.5ドル) ・フライドポテト(同上) ……ううむ。 スープといわれても、お昼にしこたま飲んだばかりなのです。 無論、ここの国のスープですが。 水っ腹は苦しいよなあ今から自転車こぐのに。 というわけで、フライドポテトに決定。 ここで「あーあやっぱアホウドリだなこいつ」と思ったあなた。 全面的に正しい。 わかってます。わかってますカロリー高いのは。 しかしアサドリさん、この段階ではいまだ事態をナメきっておりました。 で、フライドポテトを注文したのですが。 そこでウェイターさん曰く。 「お飲み物は何にいたしますか?」 わあい飲み物あるんじゃねえかアミーゴ!(号泣) 内心の動揺を押し隠し、当初から飲む予定だったアイスコーヒーを注文。 ああそういえばこの国のアイスコーヒーって デフォルトだといやってほどコンデンスミルク入ってるんでしたっけ。 ……こういうところで柔軟に予定を変更できない人を 当サイトではアホウドリと称するのです。 そして出てきたポテトとコーヒー。 コーヒーのギタギタなまでの甘さは覚悟どおりとしましても。 ポテト大皿いっぱいじゃねえかアミーゴ!(絶望) マックのレギュラーの倍ぐらいはあったでしょうね。ええありましたとも。 しかも「たべものをのこしちゃいけません」のフレーズが 脳内にぎっちり刷り込まれてるアサドリさんであります。 こうして本日半日で摂取したカロリーはぴよぴよぴよぴよ。 ……いかん。 そこでアサドリさん、性根を入れ替えまして、 即座に川向こう行けるとこまで行ってみよう自転車ツアー実施。 その名のとおりであります。 この首都の大橋を越えた向こうにはまだ行ったことがなかったので、 行けるところまで行ってみようという訳であります。 無論、大通りはそれずに、15分ぐらいで。何かあったら危ないので。 幸いなことに、本日は曇り。さほど暑くはありません。 で、カフェを出て、川向こうに向かうわけであります。 えんやこらと橋の上まで出ると、おお、雄大な大河が足元に。 一見するとどっちへ流れているのか分からないほどゆっくりですが、 その広さは日本人が思い浮かべるそれを遥かにしのぐのです。 その橋を越えまして、めでたく川向こうに入ります。 ここから先は一直線(無論まっすぐな道ではありませんが)。 からからと自転車こいで走るわけであります。 しかし。 これが受難の始まりでした。もう始まってたか。 第一に道が悪い。 この道は地方と首都を結ぶ動脈のひとつなので、大型トラックがばんばん走る走る。 しかも舗装部分が狭い。 大型トラックを避けて道の端へ行くと、そこはもう砂だまり。 さらに、それにタイヤとられてうっかり外側によろけると、湿地帯にザブンです。 くそ。負けるか。僕は死にません本日のカロリー消費するまで。 いや、消費しても死なないけど。 こうしてほぼ当初の予定どおり、20分は走ったでしょうか。 そろそろ戻ることにして方向転換。時刻はまもなく2時半であります。 もと来た道をからからと戻り始めて5分も行かないうちに、 すっとペダルが軽くなりました。 事故ったわけじゃありません。向かい風がなくなったのです。 対向車線を見てみると、バイクに乗ってる皆さんの服が もうばっさばさとはためいております。 しかも皆さん、埃よけに顔の前に手をかざしております。 対向車線にとってはよほど強い風なのでしょう。 が、こちらにとってはうれしい風です。 しかも、どうやら下り坂の模様。ありがたい限りです。 ……が、そのありがたさも長続きはしませんでした。 大橋直前。 ざっと降り出した大粒の雨。 まずいことに、レインコートはお家。 アサドリ、道端のお店に緊急避難。 滝のような大雨はその後2時間に渡って続き、 アサドリさんは大橋を眺めながら、指をくわえて屋根の下にとまっておるのでした。 そして、ようやく迎えた小止み状態。 自転車に乗り込みロケットのごとく発進。気分は突撃隊であります。 大橋を無事に渡っておうちに帰る……予定だったのですが。 道路が川になってるじゃねえかアミーゴ!(驚嘆) そう、先ほどの大雨で、道路のところどころが水没していたのです。 大して驚きもせずその中を走るバイクや車。 私もその中を進むわけでありますが。 ペダルの、ちょうど軸の部分まで水が来ておりまして。 つまり、普通にペダル漕いでたら足がしっかりと濡れます。 しかも、文句なく茶色い水です。 この首都に捨てられた各種ゴミ、その辺で濡れねずみになった人や犬やネコ、 さらに恐らくはあふれたドブ(きっとある。ぜったいある)、 その他様々な物が絶妙にブレンドされたダシが溶け込み、 この水は完璧な首都汁と化していたのです。 バイクは簡単です。アクセルがハンドル部にある(多分)ので、 両足上げてても進めますから。 しかしアサドリさんは自転車。 よろたよろたしながら両足ぬらさないように漕ぐわけです。 そしてその脇を軽やかに両足上げて過ぎ去るバイクのおいちゃん。 おのれ。人の苦労を一顧だにせず楽しおって。呪ってやる祟ってやる…… ……あら、バランスが…… さぽーん(水音)。 …………右足が首都汁にー!! 人を呪わば穴二つ。 昔の人はやっぱり正しかった。 こうしてアホウドリ、泣く泣くおうちに帰りました。 家(ステイ先)が浸水していないか心配していたのですが、 道路より高くなっていたおかげで、無事でした。 外の水道で首都汁を流し、自室に上がって着替えるわけであります。 ようやく人心地がついてふと机の上を見ると。 ぬおおお雨漏ってるじゃねえかアミーゴ!(凍結) 机の上の雑誌その他が一部水浸しに。 机の前の窓は、留守中に家の人が閉めてくれたようですが、 雨漏りとは予想外。 しかし、被害はこれだけにとどまらず。 冷蔵庫(なんと冷蔵庫つきのお部屋。ブラボゥ)の下に水溜りが。 恐る恐る開けてみましたら。 内部が完全に水浸しじゃねえかアミーゴ!(石化) 真相を推理。 実は、昼間に大規模な停電がありました。 そして私の冷蔵庫は、冷蔵庫と冷凍庫が分かれていない (冷蔵スペースの上に冷凍スペースがある)タイプだったため、 停電の際に庫内の温度が上がって 冷凍スペースに降りていた霜が解け、下の冷蔵スペースを直撃した模様。 こうして、1階が浸水していないにもかかわらず、 アサドリさんのお部屋は2階だけ浸水という珍事態に見舞われたのでした。 かくて前半は油、後半は水と受難続きの一日は幕を下ろしました。 やっぱり「水と油」だけに、油が上に参りました。 お後がよろしいようで。 |