僕は、4年に一回の、特別な誕生日を迎える。

青学やライバル校のみんな、そして、マネをしてくれた

みんながいるから、僕にとって

「特別」

の意味は、更に増す。

       〜eyes〜ボクの大事な仲間

跡「アーン?何してんだよ、

俺「うるさい。今不二先輩の大事な4年に一度の誕生日ケーキを作ってるんす!黙ってろアホ部

跡「・・・アホじゃねぇ、跡だ。で、なんでお前が居る」

ブ「別にいいだろぃ?一緒にお菓子作って何が悪いんだよ」

何故か氷帝の家庭科室に、ブン太を呼び、ケーキを作っている。

全国は・・・終わった。

清々しい青空が、両校の功績を称えるかのように、眩しかった。

この一年・・・

マネージャーとして働いてきた、

アメリカから帰って、本当にたくさんの人に出会い、成長した。

青学からの転校は唐突で、悲しいとは思ったが、過ぎたことだ。

今では青学も氷帝も、皆、かけがえのない存在とも言える。

跡「・・・お菓子作って・・・ったって、お前練習はねぇのか」

ブ「受験終わったし、オフだし、ヒマだしさぁ、不二クンも4年に1度の誕生日だぜ?作ってやってもいいだろぃ」

跡「お前不二と仲良い・・・つか喋ってるとこ見たことねぇぞ」

ブ「いーのいーの。なんせ今年中、青学とは随分仲良くさせてもらったしなぁ」

俺「ま、モメてねーでやりましょーよ。跡部さん、参加してくれますよね、パーティー」

ブ「なんか知らねぇけど、おめーの所の芥川とか宍戸とかも来るらしいぜ」

跡「・・・」

チッ、すこし舌打ちをすると、ちょっと黙って、また口を開いた。

跡「・・・俺が部屋用意してやるよ、汚ねぇ部室なんて使ってられねぇだろ」

俺「跡部さん太っ腹〜♪きっと不二先輩も喜びますよw」

無邪気なマネージャーの笑顔を見たら、怒鳴る気も無くなった。

跡部はため息をつき、きゃっきゃと生クリームを混ぜている二人を、ただ眺めていた。

・・・

プルルr・・・

古臭い、というか、シンプルすぎる着信音が、

青学の部長、もとい手塚のケータイから鳴り響いている。

手「・・・ん」

誰からかっつーと、 から。

手「・・・不二も誕生日か・・・跡部が、会場を作ってくれる・・・」

内容を読み返していると、練習中の不二が振り向いて来たため、

いつも通りの冷静な顔で、ケータイを閉じた。

リ「ったく・・・全国も終わったっつーのに、なんで3年も練習してるんすか」

菊「いーじゃんいーじゃん♪俺らだって動きたいもん」

不「・・・クスッ、高校でも一応続けるつもりだからね。練習を怠る事はできないよ」

不二は、一方でケーキ作りに励む氷帝の方の事も、

跡部によるサプライズパーティーの計画も、

もちろん、ベタに自分の誕生日の事も忘れていて、

当然何も知らされてもいない。

ニコニコと笑い、卒業への寂しさなどに、思いを馳せていた。

・・・

さすがに大阪や沖縄からは来れないとは言うが、

せめてビデオとか手紙くらいなら、と、氷帝の 宛てに来た。

差出人というのも、まぁせいぜい白石と、(後の四天宝寺メンバーは全員ノリで)

沖縄といっても、木手からの短すぎる一言&挑発、凛クンからのメッセージくらいだった。

俺「不二先輩も顔広くなりましたね」

跡「・・・オメーもだろ」

俺「あ、そうでしたね。まぁそれも全部アンタのせいですけど?

跡「・・・嫌味ったらしく言うなムカツク」

コツン、と軽く頭を叩かれ、「なっ!」と蹴りでお返し。

まぁいつもの風景だった。

そして、明日、不二は誕生日を迎える。

・・・

不「・・・どうしたの?」

ケータイ越しに、その甘い声で、ニコっと話す。

俺「先輩、今日はもちろんヒマっすね」

不「あぁ・・・空いてるけど、姉さん達が夕方から僕のパーティー開くって言ってたよ」

俺「・・・そっすか。じゃあ単刀直入に。先輩のパーティー開くんで、とりあえず、氷帝来て下さい。待ってますから」

一言言うと、そのままプツーーー・・・と切れた。

不「・・・本当に単刀直入だなぁ・・・」

そういいながら、いつもと変わらない微笑みを浮かべた。

・・・

俺「ちーっす、実際に会うのは久しぶりですね」

不「そうだね」

俺「んじゃ、行きますよ。みんな待ってるんですから」

不「・・・青学とは逆だね」

俺「まぁ、色々とあって部室じゃないです」

ちょっと困り顔の不二の反応も楽しみつつ、 は手を引っ張った。

・・・

パン!!!

着いた所はけっこう広い部屋。跡部の家の一部だ。

クラッカーが青学メンバーの手で鳴らされ、

「「ハッピーバースデー!!!」」

と、全員から声があがった。

跡「おい、オメーら、いいか、アーン?たった今から、青学の不二の誕生会、

そして遅くなったが全国、関東・都大会全ての試合での打ち上げも行う。心して祝えよ!」

指を鳴らし、

ブン太と の2人が、ケーキを差し出した。

俺「俺らで昨日作ったケーキです」

ブ「ま、食ってみろよなっ、力作だぜ♪」

不「・・・」

事情が飲み込めなくて戸惑ってたが、やっと分かった。

誕生日。

いつもなら地味だけど、家族と家でパーティーをして、それなりに楽しかったが、

今年は、違う。

一緒に戦ってきて、

睨み合い、

競い合ったライバル達が、

今は笑って皆が集っている。

俺「声をかけたら、皆揃ってきてくれました。コレ、ここには来れなかった比嘉と四天宝寺からです」

手紙を一緒に渡され、本当に、ビックリした。

忍「まぁ、もらっていきぃや。俺の従兄弟からも入ってると思うで」

不「・・・あぁ・・・楽しみに読ましてもらうよ」

とはいえ、オドロキは消えなかった。

でも、同時に嬉しさも、こみあげてきたのは言うまでもない。

不「・・・みんな、有難う」

俺「この後も大丈夫ですよ。ドッキリで由美子さん達にも手伝ってもらったんですから」

不「え・・・??」

由「周助、見事に引っかかったわね」

不「・・・姉さん」

観「不二君」

不「観月、なんでここにいるんだい(超笑顔)

俺「不二先輩、開眼しないで下さいマジで」

観「・・・んふっ、今日は、裕太くんも居る事ですし、実は立海の幸村君と、美味しい紅茶を選んできました。プレゼントですよ」

ちょっとしゃれた紙袋を差し出され、とりあえず受け取ると、にこっと言った。

不「そんな事で僕の怒りが収まると思ったのかい??(にこっ)」

裕「兄貴!やめてやれって。観月さん、これでも真剣に考えて選んでくれたんだぜ?」

不「そうなのかい?」

観「・・・裕太君、余計な事まで補足しないで下さい」

不「・・・有り難くもらっておくよ。今日はなんだか気分がいいや」

千「おっ、今日はいつにもまして笑顔だねw不二くん♪」

不「・・・君はいいよ」

千「え!!?無視かい!?おーい、不二く〜ん」

幸「不二、誕生日おめでとう。観月と選んで君に合いそうなものを見つけてきたんだ。帰ったら飲んでみて」

不「うん、そのつもりだよ」

・・・

俺「盛り上がってますな〜・・・不二先輩、いつもより嬉しそう」

跡「俺にはいつもにこにこされてるから分からねぇな」

すみっこで、不二や他メンバーとの会話をしている所を見て、2人は壁にもたれかかっていた。

手「・・・不二、おめでとう」

不「有難う、手塚。みんなで企画してくれてたんだね。丸井君と のケーキも美味しかったし」

手「あぁ。何はともあれ、皆が皆、お前のことを思っている。」

不「・・・嬉しいよ。僕のことを考えるといっても、そんなの青学の中だけだと思ってた。他校でも、祝ってくれる人はいるんだね」

友情。

そんな事は奇麗事。

でも僕たちは、もっと別のもので繋がっている。

不「この日のこと、僕は絶対忘れない。最高だから」

青空にむかって、ぼやいてみた。


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不二の青春系誕生ドリ。

初めてドリームメーカー使ってみたからよくわからずじまいでした。

あまり名前で呼んでくれないと思いますが、それが俺なりのやり方なのですいません。
2008 2.29 UP    miha