いま日本はニートやら引きこもりやらが増え、その数なんと180万人を超えてなお増え続けている。 彼らは働くでもなし、大学に行くでもなし、極力部屋から出ようともしない奴らもいる。 いわゆる社会不適合者なのだが、実はそういう俺も引きこもりだったりする。 だがしかし!俺はそこらの引きこもりとは違うと断言してやろう。 大体引きこもりとは対人不信で自分だけの世界を創るいわゆるオタクの事を指すのだ(勝手な解釈)。 俺は人間不信でもなければオタクでもない、真っ当な人間だ。 宣言しよう。今年俺は引きこもりを卒業してやる! 『ステップ@就職活動』 やはりアルバイトするのが一番の引きこもり解消法であろう。とりあえず働けば家から出ることはでき るのだ。 まぁ家から出たら引きこもりじゃないとは言い切れないが、買い物以外で家から出ることは大切だろう 。 まず何のアルバイトをするかだが、やはりやるとすれば自分の好きな仕事に限る。 俺は基本的にデスクワークが好きだ。だとしたらこれで求人を探してみよう。 パソコンの電源を入れネットでデスク系の求人を探してみる。 ふむ、探してみると意外と求人は出てるもんだな。一つの求人サイトでも20以上もの求人がでてきた。 デスクワーク関係だけでこれだけ出るのに、働く先が無いと言う奴は探す努力が足りないんじゃなかろ うか? とりあえず話を戻し仕事を探してみる。するとひとつの仕事が目に付いた。 どうやらウェブデザイン系の仕事らしく、自宅にいながら簡単にできてバイト代もそこそこいい。しか も面倒な面接もなくメールを送るだけでいいらしい。 これは簡単だと思い、住所や電話番号などを書き込みあとは送信ボタンを押すだけなのだが… 考えてみればこの仕事一歩も外に出ないじゃん! 『ステップA趣味』 いきなりバイトを始めるというのは某電波的番組のアフリカ・ヨーロッパ大陸縦断ヒッチハイク並みに 無謀だった。 それにいきなりバイトを始めれば自分の好きなことができなくなる。 …ん、そうか。自分の好きなことで外に出ればいいのか。 因みに俺は運動が嫌いというわけではない。むしろ体を動かすのは好きなほうだ。よし、この線でいっ てみよう。 まずは何を始めるかだが、やるからには楽しいスポーツがいいに決まっている。 やはり定番はテニスやフットサル、バスケといったところか。 この地域でネットでサークル入会者募集してるのは…このテニスのサークルか。 やはりテニスは人気があるスポーツだからな。 どこかの週刊誌に美少年だらけのテニス漫画があった気がするが、それだけテニスをやってる人は格好 良く(勝手な解釈だが)見えるということだろう。 何なに、入会希望者は自前のラケットとウェアを持ってる人なら誰でもいいのか。 勿論そんなものは持ってなかったが、脱引きこもりのためだ、多少の失費は仕方あるまい。早速ネット ショップで注文することにしよう。 ウェアは…上下ジャージを含めて一万八千前後か、むぅ――仕方あるまい。 ラケットは……なに!?二万円いじょうもするのか! ご、合計すると大体四万円もかかるのか。 今月の仕送りいくら残ってるっけ? あわてて通帳の残高を調べてみる。 え〜〜っと――――うん 『ステップB友達』 やっぱり世の中金の力だけで渡ろうとするのは良くない。 地獄の沙汰も金次第と言うが、そうだとしても良心的によろしくない。 まぁ少しは使わないと渡っていけないわけだが… さて、どうしたもんか。 その時、俺の携帯が鳴りだした。(因みに着メロは森の熊さん) 開いて誰からか確認してみる。 なんだ、高校の友達からのメールか、確かこいつ就職で大阪に行ったんだっけ。 なになに、久々に地元に戻ってきたから遊びに行かないか? う〜ん、家の中で遊ぶならまだしも、外は暑いからなぁ… っと適当な理由を付けて断りの返信の文を打っていく。 でも、こいつ高校時代、結構仲良かったんだよなぁ。 でも、わざわざ家出て待ち合わせるのも億劫だしなぁ。 で、結局そのまま俺は返信のボタンを押してしまった。 そして、携帯の送信画面を見ながら気づいた。 俺、もしかして引きこもり度あがってる? 『ステップCステップ』 「うわ〜なんで断りのメールなんか送っちゃったんだろう。折角友達が誘ってくれたのに」 俺は自分への嫌悪感や苛立ちでどうしようもなくなって、ベッドに仰向けになる。 「……俺、最悪だな」 眼を閉じてそのまま眠りにつこうかと思ったその時、ピンポンとチャイムが鳴った。 「ったく誰だよ、NHKの集金かぁ?」 面倒くさいながらも玄関へと向かった。 「はいはい誰ですか――ってうわ!」 「よう、元気にしてたか!」 なんと訪問者は先程メールの返信をした友人だった。 「ちゃんとメール見たか?今から遊びに行こうぜ!」 「いや、メールなら見たけど…って、俺遊びに行くなんて返信してないぜ」 「ん?そうなのか?いや、おまえん家の近くでメール打ってたから返信見ずにきちまった」 なら、メールよこす必要なかったろうにコイツは… 「なんだ、急ぎの用事あるのか?」 「いや、用事はないけど…」 「なら、いいじゃん。ほら、行こうぜ!」 と俺の手を引っ張り外に出そうとする。 が、俺の足は踏みとどまった。 「い、いや財布とってこないと」 多分、これは悪足掻きなのだろう。俺は何故か家を出ることに抵抗したかったのだ。 「いいって、今日は社会人の俺が奢ってやろう」 「悪いってそんなの」 「イイから気にすんなって…ほら!」 「うわぁぁ」 天候は快晴 「ちょっと靴くらいちゃんと履かせろよ」 「早くしろって」 外出するにはもってこいの天気だろう 「よーし今日はナンパしに行くぞ!」 「いや無理だって」 俺はまた一歩を踏み出した 「いいから早く」 「ったくもぅ」 でもまた一歩踏み出せるかは判らない 次も、その次も、踏み出せる自信なんてない けど今日踏み出した一歩は 次の、そのまた次の一歩を踏み出すための大切な一歩に違いない 踏み出す一歩は、いつでも次を踏むための始めの一歩なのだ だからそう、俺は踏み出す 大切な一歩を あなたは、ちゃんと踏み出せていますか 始めの一歩を