安田善次郎 安田家家憲 1.他力を頼まず、独力で商人として身を立てること。 2.虚言を言わぬ事。 3.収入の8割をもって生活し、他は貯蓄すること。 安田善次郎家訓 主人は一家の模範なり、われよく勤めなば、衆なんぞ怠らん。 われよく倹ならば、衆なんぞ奢らん。 われよく公なれば、衆なんぞあえて私せん。 われよく誠なれば、衆なんぞ悪ならん。 勤倹貯蓄五戒 1.意思の弱き人は何事にも気の移り易く、衣服調度のごとき、時々の流行を追い、外見を飾るをもって能事とす、かくる虚栄の奴隷となる人は、予算外の支出もかさみ、遂には祖先伝来の家産をも減ずるに至る。いわんや貯蓄をや。 2.意思の弱き人は、友人知己のために保証人等となり、不測の禍を買うことあり、かくのごとき一時の人情に駆られて、自己の利害を顧みざる人は、勤倹貯蓄を実行する能わず。 3.意思の弱き人は、取引上始終人の後へに立ちていわゆる「ひけ」を取るものなり、かくのごとき人は情実に拘泥して、常に損害を醸す。 4.意思の弱き人は、困難なる事柄、又は紛糾錯雑せる事件に遭遇すれば、直ちに屈伏頓 挫し、又は之れを嫌厭し、遂に何事も為し逐ぐること能わず、かくのごとき人は、畢竟奮然気力を発揮し事にあたるの勇なき者にして、終生向上する能わざるべし、あに克己心あらんや。 5.意思の弱き人は、その行為常に不文律にして、精神快活ならず、従って自己の情欲を制して、勤倹貯蓄をなすの勇なし。