「ということで、第一回!! チキンチキン肝試し大会inアナグラ〜やめてよして叫ばないで〜開催だあああッ!!」 「ぃやったねぇッ!!」 やけにテンションの高いミツキと角治郎に呼び出されたメンツは思わず頭を抱えたり苦笑を浮かべたりしている。 深夜12時過ぎ、明日もミッションがある者ばかりだというのに、真っ暗のホールに強制集合をかけられたのだ。 シキが申し訳なさそうにため息をつくと皆が答えるようにうなだれた。 「ルールは至って簡単!!  2人1組で懐中電灯を1本、ラボにいるDjangoさんの所まで行って、レーションを貰ってくること!」 「その間一番でかい声で叫んだ人がチキンチキンの称号をプレゼント!」 イェーイ!!と両手を打ち合わせる2人を何対かのじとっとした目が見つめている。 その中でも最も眉間のしわが深く刻まれているレリックが、さもだるそうにあくびを漏らす。 頭をがしがしとかきむしってからくるりと皆に背中を向けて歩き出した。 「何が肝試しだ、俺は降りるぜ。めんどくせぇ」 「…おんやぁ…?レリックさんは怖いんですかぁ…?」 後ろ姿に角治郎が声を掛けると、ベテラン区画へと続く階段に足を掛けようとしたところで動きが止まった。 その声にゆっくり振り向いたレリックの赤い目は瞳孔が開いてすらいたという。 顎を斜めに上げ、身長差のある角治郎をひくひくとした笑いで見下ろしながら迫り寄った。 「…はァ…?お前こそ実は膝ガックガクなんじゃねぇのか…?」 「そんなことないですよーっだ!レリックさんこそ、帰ってもいいんですよ!」 「ッたろうじゃねぇか…!!ぜってぇ泣かすぞ、チビ」 「ち…チビって言うなぁ!!レリックさんのぷにぷに筋肉!!」 むむむと睨み合う2人をサドが努めて笑顔でまぁまぁと諭す。 ふん、とレリックが一歩下がると一つため息をついて、やれやれと首を振った。 「肝試しなんて心臓止まりそうなことして何が楽しいんですか。  まぁ…チキンは聞き捨てなりませんしやりますけどね?ちゃっちゃか終わらせてください、全く」 「同感だな。ばかばかしいことこの上ないが、チキンは聞き捨てならん」 長身を片足に預けたヴァレンジアが最奥から低い声を漏らした。 やはりだるそうに壁にもたれかかって腕を組んでいる。 しかし口の片端がおもしろがるように若干上がっていた。 「私お腹空いちゃったよー。早くやっちゃってさ、みんなで怪談話とかしながら夜食食べようよう」 「だよねぇ。紅茶とか飲みながらぞぞーっと…楽しそうだねーっ」 「ねーっ」 アミエルが鳴りそうな腹を撫でながらきゃっきゃとはしゃぐと、ミトが呼応してはしゃぎだす。 怖がるどころかケーキやクッキーの話で盛り上がり始めてしまった。 その可愛らしい様子にりんがクスリと笑ってから、ちょっと照れたようにもじもじとミツキに向き直った。 「あの…ミツキさん、ペアって、もう決まっちゃってるんですか?」 「お、そうだそうだ。自分で決められるのか?それによって俺のやる気が変わる」 「…もう、蒼さんたら…」 蒼が横に立つ麗音をちらりと見ながら笑うと麗音が少し照れながらも眉を八の字に下げた。 りんとその視線の前を通り、今にも肩に手を掛けそうな蒼と困り顔の麗音の間にミツキが割り込む。 今は無人のミッションカウンターに置いてあった箱を持ち上げて少し揺らして注目を集めた。 中からカサカサと紙のこすれ会う音が聞こえた。 「はいはいはいリア充が爆ぜる前にくじ引きでーす。番号が書いてあるから、その番号同士で組んでくださいねー」 「でもこれ、1人あぶれないか?奇数だぞ?」 きょろきょろと見まわしながら人数を数えていた柾が首を捻った。 全員が人数を数え始め、再確認してからやはり奇数なのが解ると、頷いて手をぽんと打った。 「そうだ!うん、リッk「俺が抜けようか」 柾に被るようにやはりだるそうなレイの声が静かに響いた。 尻切れトンボのように言葉を遮られた柾が壁に頭を付けていじけはじめる。 それを無視して周囲を見まわすと、抜け駆けするきか、と言いたそうないくつかの目がレイを睨んでいた。 「うん、1チームっていうか望むならジロが1人になればいいと思って」 「な…ッ!!不公平!!俺聞いてないよ!!」 「言ってないもん」 「なーッ!!このたけのこッ!!ずるいよ!!」 「やーい怖がりきのこー」 「だからうるさいってば」 シキに頭を平手打ちされてもなお騒ぐ2人を眺めながら集められたメンツがやれやれとくじを引きはじめた。 今夜は長い夜になりそうだ。