順番にくじを引いていく中、先に中を見ようとする人を制止しながら漸く箱が軽くなる。 全員のその手の中にくじがあるのを確認し、ミツキは「よし」と声を漏らした。 「全員引いたな!いっせいのーせで開けよ!いっせーの…「いっけぇ!」 ミツキの言葉を遮ってフライングをしたのは言うまでも角治郎で、皆はそれに笑いながらも自分の紙へと視線を落とす。 良いところを持って行かれたミツキもおまえええええっと角治郎を小突きながらその紙の番号を見る。 「「ゲ、ラストじゃん…」」 ハモるボイスに顔をあげた二人は互いの紙を見ながら「なんだみっちゃんかぁ」や「なんだよってなんだよ!だったら一人でいけよ」と言い合いを始める始末だ。 そんなやりとりに苦笑しながらも他の皆も自分の番号を示しながら相手を探していく。 とは言え、そんなに人数が多いわけでもなくペアを捜すのに時間は掛からなかった。 結果は1番手はシキとりん。二人ともよろしくっとのほほん挨拶をする姿はどこか和む。 その次がサドとミトのペア。ハイテンションなミトにサドは元気ですねぇと苦笑を零している。 そしてヴァレンとレイ。真っ白な二人はどこかぎこちない。 次に相手にあまり興味がなさそうなアミエルとレリックと続き、安定の蒼と麗音。 その結果に「なんで蒼さんと麗音さんは安定のペアなんだよー」とほんの少し茶化すような声が上がったがそんな言葉を一喝するように「まぁ、当然の結果だろ?」と蒼がにんまりと笑う。 麗音はちょっとホッとしたような困ったような風で、眉をハの字にしながらも蒼にぴったりとくっついている。 「あ、柾が一人だ」 「うわぁ、柾さん大丈夫?」 「柾…南無」 そう、残った紙が6番だったが為に柾が一人ということになったのだ。 そんな言葉に柾は「大丈夫に決まってるじゃないですか」と余裕の笑みを見せる。 …が、その笑みはほんの少し引きつっていた。 「じゃあ、始める…?」 ペアも決まり少し雑談が混じり始めた頃、シキは懐中電灯を片手に小首を傾げた。 「そうだな、そろそろ始めるか!あ、急だったから懐中電灯3つしかないから1チーム帰ってきてから次のチームな!」 頑張れよーっと手を振るミツキを尻目に角治郎はりんに気をつけてねっと声をかける。 そんな角治郎に「大丈夫、ジロ君行ってきますっ」と笑顔でぽつりと漏らすと、りんはこちらを向いて待っているシキの元へ駆け寄った。 そして二人はゆっくりと闇に足を進める。 遠くで微かに「レリックさん後ろ…!」「…ッ?!てンめえええええ!!」というやりとりも聞こえたがすぐにそれは静寂へと飲み込まれていった。 暗い暗い先の見えない通路。 いつも通っていて、知っている道だというのに知らない様な、不思議な感覚に見舞われる。 懐中電灯を持ったシキを先頭に離れないようにと距離を詰めて歩くりん。 「な、何か一番手って凄く緊張しますね…」 あまりの静寂に先に口を開いたのはりんだった。 コツコツと靴の音がそれに続くように響いていく。 「うん、そうだね…なんかアナグラの雰囲気も違って見える」 ゆっくりと左右に揺れる光。 いつもは神機使いとして前線で戦っているというのに、違った恐怖感がじわりとわき上がる。 言うのであれば精神的な怖さだろうか。 「…あ」 小さく声を上げたシキにビクッとりんが身体を強ばらせた。 「シキさんどうかした、したんですか…っ」 唐突なことにしどろもどろになりながら聞くりんにシキは「ううん、なんでもない気のせいだった」と零す。 その言葉に胸をなで下ろしながらもりんはさっきよりもソワソワ辺りを見回している。 本当はちょっと驚かそうと思ったんだけど…なんて事はそっと胸にしまい込んだ。 暫くして、区画と区画の区切りまでさしかかった。 非常用の防御シャッターが閉まる予定の其処は、ほんの少し小さな段差がある。 靴のかかとほどの、そんなに高くないそれをシキは普通に通過する。 が、後ろから小さく悲鳴が聞こえた。 「きゃんッ」 くるりと振り返ればその段差に足を取られたりんが床に座るように転けていた。 やはりこの小さい懐中電灯一つではどうにも段差に気付きにくいようだ。 しまった、声を掛けるべきだった。 そう思いながらシキは大丈夫?っと手を差しのばす。 りんは少し照れながらお礼を言うとその手を取り、ゆっくりと立ち上がる。 「あ…このまま手繋いでいく?」 シキの予想外な一言に思わずりんはぽかんとシキを凝視してしまう。 そして少し照れたようににへらっと顔を綻ばせて繋がれたままのその手を強く握り替えした。 「あの…お願い、します」 その手にさっきまで怖かった気持ちは緩和され、懐中電灯はさっきよりも明るく道を照らしているような気すらする。 「早くDjangoさんの所、行こ」 「はい!」 Djangoの居るラボまでは後少し。