「違うだろ、ジロチキン君、名前はちゃんと書かなきゃ」 「そうですよ。ミツチキン君、ほら、あなたのも私が書き足してあげます」 「誰がうまいことを言えと…サドチキンのも書いてやろうか?」 「あ、レリチキン、ほらほらお前も」 「なに語呂よくしてんだよ、蒼チキン」 「もー!みんな、受注書類くらい真面目に書きなよ!!ほら、柾チキンは真面目に書いてるよ!!」 「…麗音さん…」 朝になり、面々が受注カウンターで仕事に取り掛かろうと書類を書いている。 ごたごたと固まり合って騒ぐ男性グループと、きゃっきゃといつもより楽しそうな女性グループ(とシキ) にヒバリは何事かと首をかしげた。 しかも差し出された男性たちの書類の名前欄にはなぜか各自の名前の語尾に“チキン”と付け足されてある。 何か言いたげに男性グループを見比べ、訳を聞こうと女性たちに視線を投げかける。 が、微妙な笑みを浮かべるだけで誰も答えてはくれなかった。 「あのぉ…ちゃんと書いていただかないと、受理できないんですが…」 「いや、ぐーぐーが…」 「それにつがいの白い影がですね…」 「黒い顔も…」 「はぁ…?」 ヒバリは困り果てて、どうしたものかと首を捻った。 何かの流行だろうか。 それとも夏のせい? 夏って、暑さでみんなの頭を狂わせてしまうのね。 自己完結したはいいが、名前の後ろに“チキン”と書かれた何枚かの書類を、考えた末にシュレッダーにかけた。