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成長こそは時の定め、しかし進化とは自らの運命。

―――つまり、成長とは一定の時間が促すものであり、進化とは自らをよりよいモノへと変えてゆくこと。
そこには一切の時間概念も意味は無く、ただ己との戦いがあるのみ――――

『進化の行き先』
放課後。学校帰りによった君の部屋で僕はお茶を注ぐ君に、
「成長と進化って、何が違うんだろうな」
「時間の経過が解決するものと、自らが解決する違いじゃないの?」
君から注がれたお茶と言葉を受け取り、ふむ、と頷き、そして考え、
「じゃあ退化っていうのも時間と関係ないのか」
君はグラスの中のお茶を一口含み、そして告げる。
「そうね、退化っていうのは進化の正逆位置にあるのだから、関係ないのかもね」
でも、と彼女は僕を見ると不思議そうに首をかしげ、
「何でそんなことを聞くの?」
「いや、退化するっていうか、しているやつがいるんでな」
さて、どこまで話そうか、と思案すると、苦笑する君が一人、
「退化っていう言葉は聞こえが悪いけど、それは自らに不要と感じるものを捨てていくことなの。
 つまり相対的に良くなるってことね。
 でも勘違いしないでね。退化は捨ててしまうから、それ以上のものは生まれないわ。
 だってそうでしょう?
 自分には不要だと思われる可能性を捨ててしまうのは、自らの可能性を捨てているのだもの」
なるほど、と納得する僕は、だからこそ言葉を告げた。
「じゃあ、進化って言うのは自らの可能性を拾っていくことかい? 自らに要不要と感じるものを拾う、と?」
そうね、と君は空いたグラスにお茶を注ぐと、
「自らをよりよいモノへと変えてゆくことじゃないかしら、進化って。
 一度自らを全部捨てて、そして組み替えてゆく。それは成長と違うわ。生まれ、変わるのだと思う。
 だから可能性はその後をついてゆくし、必然的に道が開けるんだと思うわ」
ふむ、と頷き、
では、
「君は進化したいと思うかい?」
僕は安直な疑問を投げかける。君はその言葉に少しだけ考えて、しかし首を振ると、
「いいえ、私はこれで満足だから。今を捨てるのも、今以上を拾うのもしない。だから私は貴方の知る程度の私なのよ」
さいですか、と僕は頷きお茶を啜ると、苦笑とともに君は、いつの間にか空になったグラスへお茶を注いでいた。